(社説)中国発の株安 重なる「転機」に注意を

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 各国の株式市場が不安定になっている。中国の不動産大手の経営悪化が震源だ。影響の程度はまだ定かでないが、背景に世界経済をめぐるいくつかの「転機」が重なる。注視が必要だ。

 連休明けの東京市場は中国関連銘柄などが売られ、日経平均株価は前週末より660円余り値下がりした。前日には欧米市場でも下落幅が膨らんだ。ただ、日米の株価は最近まで値上がりが続いており、今回の下落も、今のところ高値圏での調整の範囲ではある。

 一連の動きは、直接的には不動産大手「中国恒大集団」の資金繰り難が原因とみられる。拡大路線が行き詰まり、積み上げた巨額の負債の返済が不安視されている。

 中国当局は昨夏から不動産市場の過熱抑制策を強めてきた。恒大の現状もその帰結の面があり、軟着陸できるのであれば、行き過ぎの是正ともいえる。

 ただ、市場が過熱した場合、無理な投資や資金調達が連鎖し、思わぬところにマグマがたまっていることがある。何度も繰り返された歴史の教訓であり、逆回転が始まったときのショックを軽視するのは禁物だ。当局には、機敏かつ透明性の高い対処が求められる。

 恒大には日本を含む中国外の資金も入っている。また、不動産や金融市場が揺らいで中国経済が減速すれば、各国の企業業績や経済全体にも影響する。それぞれの国の当局や関係企業は点検を急ぐべきだろう。

 さらに留意すべき点がある。

 一つは中国の経済運営方針の変化だ。格差拡大への不満を前に、このところ再分配的な「共同富裕」や、巨大企業の力をそぐ施策を掲げ始めている。一党支配下で適切な対処ができるかは不明だが、制度の変化や成長の鈍化につながれば、米中対立の動向ともあわせて、世界経済の前提が変わりうる。

 もう一つは、コロナ禍の下での世界的な金融緩和に曲がり角が見えてきたことだ。米連邦準備制度理事会は、年内にも資産買い入れの段階的縮小に入るとみられる。景気や雇用の回復が順調なためだ。利上げはかなり先とみられるが、株高の条件が変わりつつあるのは確かだ。

 一方、世界経済全体でみればコロナ禍からの回復は緒に就いたばかりともいえる。大きな打撃と回復の過程で、国と国の間や、個々の国内の階層間で、格差が広がったとの指摘も多い。

 コロナ禍そのものも完全な収束は見通せておらず、その中で世界経済が混乱すれば、弱者にさらにしわ寄せがいきかねない。そうした事態を避けるべく、各国の当局は万全を期さなければならない。