最前線の力になりたい 朝日新聞社のクラウドファンディング「A-port」
朝日新聞社が運営するクラウドファンディング「A-port」(エーポート、https://a-port.asahi.com/)から、注目のプロジェクトを紹介します。
■ケニアの障害児の居場所守る 移転迫られる療育施設「シロアムの園」、建設費が不足
小児科医の公文和子さん(52)が、アフリカのケニアで開設した障害児の療育施設「シロアムの園」。2015年から3LDKの一軒家を借りて運営してきたが、来年7月で借家契約が切れるため、子どもたちの行き場がなくなってしまうピンチに直面している。移転して新しい施設をつくろうと支援を募っている。
シロアムの由来は、新約聖書の中でイエスが盲人を癒やした池の名前だ。ナイロビの中心街から約30キロの場所にあり、現在は子ども約50人とその家族が定期的に通っている。障害のある子どもたちに対し、それぞれのニーズに対応した質の高い教育や医療の提供を目指している。行事を通して、親子や家族間の理解を深めるなど、総合的なケアを重要視している。
公文さんの活動の根底を支えるのは、子どもたちの「笑顔」だ。11歳でシロアムの園に来た女の子は、障害による周囲の差別の目を逃れるため、ずっとカーテンを閉めた暗い部屋で育てられてきた。このため重度のくる病となり、体もかなり変形していた。
最初は能面のように表情がなかった彼女。しかし、施設で名前を呼ばれたり、体を触ってもらったりしているうちに、ある日突然、彼女が笑ったのだ。それは、本当にびっくりするような出来事だった。
「あの笑顔が私たちに教えてくれたのは、子どもたちに生きる喜びを感じさせるという目標があることでした」と公文さん。それまでは、子どもの身体的な機能を向上させることに目が向きがちだったスタッフに、新たな気づきを与えてくれたという。子どもとその家族に寄り添う活動は、シンガー・ソングライターのさだまさしさんら、多くの人に支援されている。
今回も移転を決めると、多くの人から寄付が寄せられた。おかげで土地は購入できたが、インフレの影響などで施設の建設費用が不足してしまった。ケニアではインフレが続いており、時間がかかれば、さらに費用が膨らむ恐れもある。一刻も早く工事に取りかかれるよう、今回のプロジェクトでは、最低限必要なスペースを整備するための資金を募っている。(藤田淳)
《目標額》 1500万円
《特典例》 3千円で公文さんのサンクス講演会招待(オンライン)、5万円で施設内にお名前掲示など。
■コロナ医療に従事、看護職員を応援
新型コロナウイルスに感染した重症患者らに接する看護師、保健師、助産師ら看護職員を支援しようと、認定NPO法人「日本IDDMネットワーク」(佐賀市)が資金を募り、佐賀県の特産品を贈る取り組みを進めている。
同ネットワークは、1995年に創立。糖尿病患者やその家族を支援する活動を続ける。
「新型コロナの感染拡大で、重症患者やその家族のそばにいる看護職員らの負担は大きい。応援したいと強く思ったのが取り組みのきっかけです」。同ネットワーク専務理事の大村詠一さん(35)はそう語る。
切迫する医療現場で重症患者らに接し、感染リスクを負う看護職員らが支援の対象だ。
「感染する危険や恐怖、不安の中で医療の最前線にいる。感染防止のため私生活の行動まで制限し、プレッシャーを抱えて生活する人もいる」と大村さん。
集まった資金を使い、業者から直接病院に伊万里牛を使った弁当を届けるか、伊万里牛や佐賀牛を使ったハンバーグなどのカタログを贈り、1品選んでもらう。
8月から取り組みを始め、現在は佐賀県の二つの病院と国立国際医療研究センター病院(東京都新宿区)、福岡大学病院(福岡市)の看護職員が対象。今後、支援先を広げていきたいという。(長沢幹城)
《目標額》 500万円
《特典例》 5千円で看護職にカタログ送付、支援者に活動報告など。支援は寄付として税額控除の対象となる。
■乳児院に紙おむつを
乳児院で暮らす子どもたちに紙おむつを贈ろうと、公益社団法人母子保健推進会議が支援を募っている。
厚生労働省の統計によると、家庭で育てられず乳児院に入所している子どもたちは全国で約3千人いる。
同会議は、賛助会員企業の協力で、大量の紙おむつを用意。クラウドファンディングの支援は、全国に144カ所ある乳児院への配送費に充てるという。
◇支援はクレジットカード、銀行、コンビニでの決済のほか、現金書留(5千円以上)も受け付けています。問い合わせは電話03・6869・9001(平日午前10時~午後5時)。
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