(社説)子どものSOS 官民で受け皿増やそう

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 文部科学省の調査で、昨年度不登校だった子の数が過去最多を記録したことがわかった。

 背景に長期に及ぶコロナ禍による「日常」の喪失があったとみられ、その懸念は感染の恐れの高い都市部を中心に、今も消えていない。学校はもちろん、児童相談所など自治体の福祉部門、家庭環境の厳しい子らを支援するNPO、地域社会で危機感を共有し、子どもたちをサポートしていく必要がある。

 不登校で小中学校を30日以上休んだ子は19万6千人を超え、前年度より1万5千人増えた。主な原因は小中学生とも「無気力・不安」が最多で、小学生は「親子の関わり方」、中学生は「いじめを除く友人関係」が続く。文科省は「コロナ禍で生活リズムが乱れたり、学校生活に様々な制約がかかり、登校する意欲がわかなくなったりした可能性がある」とみる。在宅時間が増えた親との確執も影響しているとの指摘もある。

 不登校といっても、約3分の2は保健室など教室以外の場所で学んだり、地元の教育委員会が設ける教育支援センター(適応指導教室)やフリースクールに通ったりしている。気になるのは、こうした支援を一切受けていない子が約6万7千人(34%)と、この5年で9ポイントも増えていることだ。

 外国人や一人親の家庭の子が目立ち、教員が訪問しても本人や保護者に接触できないケースが多いという。学校に行くことができず、代わりとなる居場所も見つからないまま、適切な人間関係を結ぶ機会のない子にどうやって手を差し伸べるか。すみやかな検討が求められる。

 一方、国が配った情報端末などを使い、自宅でオンラインで勉強する子どもが増えたのは歓迎すべき現象だ。校長が学習活動と認めて出席扱いした子は、前年度の4倍超の2600人余りになった。不登校生に対する有効な学習支援策と位置づけ、家庭の経済・通信事情に左右されずに学べる環境づくりに、引き続き取り組んでほしい。

 自殺者は小中高生で415人(前年度317人)で、コロナ禍はここにも影を落としているとみられる。今年度は減少傾向だが、窓口には依然として深刻な訴えが寄せられているといい、気を抜くことはできない。

 悩みを抱え込まないように、SOSの出し方を教える学校が近年増えている。だが、受け止める側の態勢は十分とは言えないのが現実だ。スクールカウンセラーの配備、若い世代になじみのあるSNSを利用した相談の場づくり、食事とともに地域住民との交流もできる子ども食堂の整備など、官民をあげた多様な受け皿づくりを進めたい。