(社説)アフガン支援 命の危機の救済を急げ

[PR]

 米軍がこの夏に撤退したアフガニスタンで、食料不足などの人道危機が深刻化している。これまで復興支援を主導してきた日本は、人びとを危機から救う緊急の手立てを急ぐべきだ。

 G20と呼ばれる20カ国・地域の首脳級会合で、岸田首相は総額2億ドル(約220億円)の支援を年内に行うと表明した。国連機関を通じて迅速かつ着実に物資を届けてもらいたい。

 イスラム主義勢力タリバンが実権を握って2カ月になるが、国の統治は今も混迷している。報道弾圧や処刑なども断続的に報じられている。

 テロ組織との関係断絶や女性の人権尊重など、国際社会の要請にどう応えるかも不透明だ。暫定政権と認められない間は、本格的な経済支援はできない。

 だが国連によると現在、1400万人の食料が欠乏しており、事態は急を要する。国際社会は、タリバンとの関係とは切り離して国民への救済の手を差しのべるべき局面だ。

 日本はこの20年間、アフガン復興を主導してきた。それだけに新たな援助を考えるうえで、過去の検証が欠かせない。

 02年と12年に復興支援の国際会議を東京で開き、02年は緒方貞子政府代表(当時)が共同議長を務めた。日本の支援総額は69億ドル(約7600億円)に及び、教育、保健、農業、インフラ整備など多岐にわたった。

 多額の国際援助は生活向上に役立った一方で、アフガン政権内に汚職を生んだ。不適切な使途に資金が流れ、軍や警察などの育成も妨げられた。

 国際社会が手厚く支援した文民政権はなぜ、あっけなく崩壊したのか。欧米流の民主政治が根づかなかったことも含め、支援のどこに問題があったのか、省みる必要がある。

 現地には、日本の政府や団体・企業と共に働き、国外退避を望む人びとが残されている。今月に一部が日本に到着したが、政府は退避希望者を見捨てることなく、日本での長期的な受け入れも進めるべきだ。

 日本のNGOやボランティア団体の活動は最近、再開し始めている。30年以上にわたり医療や農業などで尽力した故・中村哲さんに代表されるように、多くは草の根レベルの復興に地道に取り組み、現地と日本との信頼と絆を深めてきた。

 戦乱に揺れ続けたこの国に安定をもたらすには何が必要か。再びテロの温床としないために、どのような支援が求められるのか。

 民間で活動してきた人びとの実績や知恵も生かしながら、目の前の苦境をやわらげる人道支援とともに、真剣な検討を重ねていかねばならない。