(社説)ドコモ障害 インフラ担う自覚を

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 NTTドコモの回線で先週、大規模な通信障害が起きた。スマホや携帯電話で、データ通信や通話がつながりにくい状況になり、全面復旧までに1日以上かかった。総務省電気通信事業法上の「重大な事故」にあたるとみている。

 通信回線はもとより重要な公共インフラだ。加えてスマートフォン上でのサービスの急拡大で、多くの利用者にとって買い物や支払い、各種の手続きにも欠かせない手段になっている。

 今回も実際に、飲食宅配サービスやキャッシュレス決済に影響がでた。突然、端末で通信できなくなり、慌てた利用者も多かったはずだ。原因を精査し、再発防止に努めて欲しい。

 ドコモによれば、障害は設備の更新作業に伴って起きた。新設備に不具合があり、旧設備に戻すときに想定以上に通信が集中し回線がパンクした。

 会見では「見積もりが甘かった」と説明し、副社長が「ご迷惑をおわび申し上げます」と陳謝した。処理能力の再確認と手順の見直しをするという。

 大きなシステムにトラブルが起きることはある。疑問が残るのは障害の規模や影響の広がりについてのドコモ側の認識だ。

 会見で公表したのは、(1)位置情報が登録できず通信できない状況になったのが200万人、(2)結果として前週比で通話量が15%、データ通信量が4%減った、という2点だけだ。アプリ利用での影響は、「情報を持ち合わせていない」と述べた。

 技術的、時間的制約で把握が難しい面もあるだろう。だが、ドコモのサイト上には「利用しづらい事象」の発生と回復時刻などのごく簡単な説明があるだけで、会見時の資料さえ掲載されていない。不便や不安を強いられた利用者への説明として、十分とは言えない。

 国内の携帯市場におけるドコモのシェアは低下してきたとはいえ、首位を保っている。親会社のNTTは「社会基盤である通信サービスを24時間365日安定して提供し続ける」という公共性を掲げ、ドコモも「いつでもどこでも快適に利用できる安定した通信ネットワーク」をうたい、利用の拡大とともに高収益を上げてきた。

 コロナ禍を経て、リモート(遠隔)でのやりとりの重みが増す時代でもある。利用者に対する責務の重さを、より強く自覚すべきではないか。

 この間、NTTグループでは総務省の官僚や関連する政治家らへの過剰な接待が相次いで明るみに出た。事業者と監督権限を持つ省庁との緊張関係は、今回のようなトラブルへの対応にあたっても不可欠だ。改めて、双方が姿勢を正す必要がある。