禅寺の静寂、満たされる心 2021年秋・京都非公開文化財特別公開

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 禅味あふれる庭園にゆっくり身を置いて、心をリフレッシュさせてはいかが。恒例の秋の「京都非公開文化財特別公開」は、東福寺塔頭(たっちゅう)の南明院(なんめいいん)と光明院(こうみょういん)が初めて参加し、開催中だ。これに天得院(てんとくいん)を加えた三つの禅寺の見どころを紹介する。

 ■見下ろす眺め、まるで月から 光明院

 室町初頭に東福寺の塔頭として創建された光明院には、昭和を代表する作庭家重森三玲(しげもりみれい)が月や雲のモチーフを用いて表現した、優美な世界が広がる。

 もととなっているのは、「雲は嶺上(りょうじょう)に生ずることなく、月は波心(はしん)に落つること有り」という禅語。「煩悩がなければ、仏心は波に映る」という意味だ。

 主庭「波心庭」は枯山水庭園で、大海を表す白砂に、後光がさしているイメージで立石が並ぶ。背後のサツキやツツジは刈り込まれ、雲の形に。その上の高台には、窓や壁に月のモチーフを抱いた蘿月(らげつ)庵が見える。庭から、東の空に昇る月を望む仕掛けだ。

 普段は関係者のみが立ち入れる書院の2階から、庭園を見下ろして楽しめる。藤田慶水(けいすい)住職は「まるで月から眺めているような気持ちになれると思います。2階から景色の違いを感じてもらいたい」。(田部愛)

 ■桔梗300本、今年は「二度咲き」 天得院

 「桔梗(ききょう)の寺」として知られる天得院は、南北朝時代の1346~70年ごろに開創された東福寺塔頭の一つ。見どころは本堂前に広がる枯山水庭園の約300本の白や紫の桔梗だ。「庭を眺めながら、コロナで疲れた心を癒やしてほしい」と明石碧洲(へきしゅう)住職。

 今年は初夏に手入れして、秋に「二度咲き」が見られるようにした。11月は紅葉も見頃に。ほかにもスギゴケや四季折々の花が楽しめる。

 天得院は方広寺鐘銘(ほうこうじしょうめい)事件(1614年)でも知られる。当時の天得院住職が、豊臣秀頼の依頼で、方広寺の鐘の銘文に「国家安康、君臣豊楽」を選んだ。「家康」の文字が分けられていたことから、身首両断を意味すると家康が秀頼を非難。事件は「大坂の陣」のきっかけになったとされ、天得院は取り壊しに。今の建物は1789年に再建されたものだ。(北村有樹子)

 ■秀吉の妹、宿命しのぶ五輪塔 南明院

 東福寺塔頭の中で最南端にある南明院まで足を延ばすと、一段と静けさが増す。永井圓洲(えんしゅう)住職は「昔は五山の送り火も一望できました」と振り返る。

 室町時代、1414年の創建。1917年に火災に遭い、戦後、再建を重ねてきた。2019年には「蒼穹庭(そうきゅうてい)」が完成。普段は拝観できない。

 豊臣秀吉の妹、朝日姫(旭姫)の五輪塔の墓がある。既婚だったが、秀吉に離縁させられ、44歳で徳川家康に再嫁した。母の大政所(おおまんどころ)を見舞うため駿府城(静岡)から京都に戻り、そのまま死去したという。わずか4年の短い夫婦生活だったが、家康、秀忠らは上洛(じょうらく)のたびに墓参に訪れたとされる。南明院は死後まもなく描かれた朝日姫の肖像画も所蔵。今回、その面影をしのぶことができる。

 室町時代に活躍した東福寺の画僧、吉山明兆(きっさんみんちょう)の自画像の模本も今回初めて公開される。(塩野浩子)

 ■秋の特別公開、12月5日まで

 【期間】10月16日~12月5日

 【拝観受付時間】午前9時~午後4時

 ※東寺講堂・五重塔は午前8時~午後4時半、長楽館は午前10時~午後4時

 【拝観料】

 (1カ所につき)大人1千円、中高生500円

 ※東寺講堂・五重塔は大人800円、高校生700円、中学生以下500円。朝日友の会会員は拝観料割引の特典あり

 【主催】

 ●京都古文化保存協会

 Tel 075・451・3313

 http://www.kobunka.com/別ウインドウで開きます

 ●公開寺社など

 【各種ご案内】

 ●朝日新聞デジタル特設ページ http://t.asahi.com/n1ir別ウインドウで開きます

 ●新型コロナウイルスの感染拡大の状況により公開の延期・中止、または公開場所や日程・時間などが変更となる場合があります。来場の際は京都古文化保存協会のホームページ(http://www.kobunka.com/別ウインドウで開きます)や公式ツイッター(@kyoto_kobunka)で最新情報を確認してください。

 ■12カ所、期間は確認を

天得院      11月17日まで

上賀茂神社    12月5日まで

東福寺法堂    12月5日まで

東福寺三門    12月5日まで

知恩院三門    10月29日~11月7日

冷泉家      10月30日~11月3日

南明院      10月30日~11月7日

正覚庵      10月30日~11月14日

光明院      10月30日~11月14日

東寺講堂・五重塔 10月30日~11月14日

石清水八幡宮   10月30日~11月14日

長楽館      11月13日~12月5日

 ※公開時間変更や休止日のある会場あり

 ■動画配信「京都非公開文化財特別公開オンデマンド2021秋」

 京都非公開文化財特別公開の会場のうち、(1)冷泉家(京都市上京区)、(2)東福寺塔頭・正覚庵(しょうがくあん)(同東山区)の見どころを動画で紹介します。

 ◇視聴料金(1)(2)各660円(税込み)。収入の一部は各会場の文化財保護に使われます

 ◇配信期間 10月30日午前10時~2022年1月31日午後6時まで

 ※期間中何度でも視聴可能 視聴申し込み受け付けは10月28日午前10時~1月28日午後6時まで

 ◇視聴いただいた方に(1)文化財絵はがき2枚1組(冷泉家)(2)オンデマンド限定だるま御朱印(正覚庵)をそれぞれ進呈

 ◇詳細はQRコードまたは「朝日ID」HPの「イベント一覧」(https://ciy.digital.asahi.com/ciy/11005760別ウインドウで開きます)から。朝日IDの登録が必要(無料)。問い合わせは朝日新聞社・寺社文化財みらいセンターへメール(jisha@asahi.comメールする)で