野党誤算、振るわぬ共闘 217選挙区一本化、上積み小幅 衆院選=訂正・おわびあり

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 今回衆院選では、立憲民主と国民民主、共産、れいわ新選組社民の野党5党が全289選挙区の75%にあたる217選挙区で候補者を一本化したものの、217選挙区で当選した5党の候補は野党系無所属を含めても62人にとどまり、公示前の51人から大きく上積みできなかった。なぜ、野党共闘はそれほど振るわなかったのか。

 候補者の一本化が進んだのは、前回2017年衆院選で旧民進党が希望の党と立憲に分裂し、候補者が乱立した反省からだ。226選挙区で野党候補が競合し、その8割にあたる183選挙区で与党候補が勝利した。このとき、朝日新聞の試算で各選挙区で立憲、希望、共産、社民、野党系無所属の当時の得票を合算すると、63選挙区で勝敗が入れ替わり、与党120勝、野党106勝になった。

 実際はどうだったのか。前回は希望と共産の候補が立った秋田2区では今回、立憲前職の緑川貴士氏に一本化され、自民前職の金田勝年・元法務相を破った。さらに前回は立憲、希望、共産、無所属候補らが乱立した東京8区でも今回は立憲新顔の吉田晴美氏に一本化が実現。自民前職の石原伸晃・元幹事長は比例復活もできなかった。

 「野党共闘」について、立憲の枝野幸男代表は1日、記者団の取材に「一定の成果があったと思っている。どういうやり方をしていくのが一番効果的なのかなどは細かい票を分析していかなきゃならない」と語った。共産の志位和夫委員長も10月31日夜、NHKの番組で「野党共闘」について「効果をあげている」とし、「今後も発展させていきたい」と述べた。

 ただ、試算通りに野党統一候補の得票が増えた選挙区ばかりではない。

 前回、立憲候補が約9万票、希望候補が約3万票を獲得し、候補者が一本化されれば自民候補の10万票を上回る可能性があった北海道4区。今回は野党統一候補の立憲新顔の大築紅葉氏の得票は約10万票にとどまり、自民前職の中村裕之氏に696票差で競り負けた。

 また17年の試算では、東京11区の下村博文・前政調会長や24区の萩生田光一・経済産業相、静岡1区の上川陽子・前法務相の自民候補らの得票はいずれも野党の合計得票を下回っていた。候補者を一本化すれば勝敗が逆転する可能性があったが、今回、いずれの選挙区でも一本化は実現せず、自民候補が勝った。山下剛

 ■志位氏は継続方針示す

 共産党は、立憲民主党と「限定的な閣外からの協力」という枠組みを示して「野党共闘」で戦ったが、公示前の12議席を維持できず、10議席へと減らした。他党との候補者調整で多くの選挙区で候補者を擁立しなかったが、比例票が伸び悩んだ。今回の野党共闘は「最初のチャレンジ」として今後も継続する方針だが、落胆の色は隠せない。

 「大変、残念な結果。懸命の奮闘をしてもらったが、結果に結び付かなかったのは我が党の力不足によるもの」。志位和夫委員長は1日、党本部での会見で悔しさをにじませた。

 目標として、比例区で得票率15%、850万票を掲げたが、結果は半分の約7%、416万票にとどまった。獲得議席は小選挙区で1、比例は9だった。

 志位氏は会見で野党共闘について、小選挙区では「一定の効果を上げた」と強調。「(野党共闘で政権交代を目指す)最初のチャレンジとして歴史的意義があった」と語った。しかし、共闘した立憲も議席を減らしたことから、ネット上では「野党共倒(きょうとう)だ」という皮肉も飛び交った。党関係者は「『限定的な閣外協力』は有権者に分かりにくい。立憲との合意も9月末で、中身を説明して浸透させるうえで時間もなかった」と語った。

 また、公示前は立憲に続く野党第2党だったが、躍進した日本維新の会に抜かれ第4党に。共産幹部は「こちらに来るべき票が、共闘攻撃で、維新・国民という『たまり場』に落ちていった印象だ」と肩を落とした。神沢和敬、横山翼)

 ■れいわ「話し合いが必要」

 れいわ新選組は山本太郎代表が比例東京ブロックで当選するなど、比例区で計3議席を確保し、公示前の1議席から伸ばした。立憲民主党などとの「野党共闘」に加わったが、山本氏は「新たな話し合いが必要」と語った。

 「3議席も取れた。もともとゼロかもしれないと言われていたし、躍進と呼んでいいだろう」。投開票から一夜あけた1日午後、山本氏は結果を振り返った。

 れいわは2019年参院選で2人当選。党の立ち上げから3カ月で公職選挙法上の国政政党となり、「れいわ旋風」とも呼ばれた。この衆院選では格差解消や大胆な積極財政を訴え、比例票が221万票余りとなり、19年参院選の比例票228万票にほぼ並んだ。

 衆参で5人の勢力となり、山本氏は「何があっても心配するな。あなたには国がついている。そういう国造りを、この5人からスタートさせていく」と意気込んだ。

 立憲民主党が主導した「野党共闘」に加わり、候補者調整に応じたが、今後については協議次第と含みを持たせた。山本氏は共闘に参加する判断について、1日未明の会見で「『消費税5%』という条件のままでは無理だ」などと語った。(北見英城)

 <訂正して、おわびします>

 ▼2日付総合4面の野党共闘に関する記事で、共産党について「公示前は立憲に続く野党第2党だったが、躍進した日本維新の会に抜かれ第3党に」とあるうち、「第3党」は「第4党」の誤りでした。国民民主党も共産党を上回っていました。