(社説)コロナ対策 企業へ「丸投げ」改めて

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 会計検査院が、2020年度の政府の事業の検査結果をまとめた。コロナ対策を重点的に点検し、民間委託をめぐる問題が浮き彫りになった。政府は結果を真摯(しんし)に受け止め、今月中旬にまとめる予定の経済対策では、無駄遣いを改めねばならない。

 一連の対策で物議を醸した事業の一つは、全世帯や福祉施設などへの布マスクの配布だ。

 検査報告によると、国が調達した2億9千万枚のうち、3割近い8300万枚(115億円相当)が昨年度末時点で倉庫に眠っていた。政府は「マスク不足が想定よりも早く解消されたため」と理由を説明する。

 未知のウイルスへの対応が手探りになるのはやむを得ない。だが、ニーズが乏しいのに巨費が投じられた結果は重い。この事業は、当時の安倍官邸のトップダウンで進められたとされる。決定過程や見直しが遅れた経緯を十分に検証し、国民に説明する必要がある。

 保管には1年間で億円単位の費用がかかるという。マスク不足が解消された今、大きな需要は見込めない。無駄遣いをやめるよう、政府は廃棄も含めて対応を検討するべきだ。

 布マスクをめぐっては、髪の毛の混入や汚れといったトラブルも生じた。検査報告によると、発注した厚生労働省文部科学省は、委託業者に「著しい変色・異臭が無い」といった、業界団体が定める衛生基準の順守を求めていなかったという。

 お粗末な例は他にもある。

 感染者との接触を知らせるアプリ「COCOA(ココア)」は昨年9月末に、接触確認機能のテストをしないままアップデートし、その後陽性者と接触しても一部で通知が届かなくなった。外部からの不具合の指摘も長期間放置された。検査報告によると、仕様書にはテストの内容や外部指摘への対処方法が具体的に記載されていなかった。

 持続化給付金や旅行支援策でも、不透明な発注や高額な委託費が国会で厳しく批判された。目立つのは、事業の中身を十分に詰めず、安易に企業に「丸投げ」する官庁の姿勢である。

 財政状況は厳しく、有事に即応できるだけの公務員数を常に確保しておくのは難しい。コロナ対策で企業に協力を求めたのは、現実的な対応だろう。

 重要なのは、現場の実態を踏まえて迅速に発注できる体制を整えておくことだ。そのためには、癒着を防ぎながら、企業と活発に情報交換し、事業の中身を主体的に詰められる人材を育成することが欠かせない。

 今後も感染拡大の波に襲われる懸念は残る。同じ失敗を繰り返さぬよう、発注の適正化の徹底が、政府には求められる。

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