(社説)新政権と教育 現場の声聞き格差正せ

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 昨年来のコロナ禍は家庭間の経済格差を拡大させ、社会の分断を深めた。親の貧困が子に引き継がれず、一人ひとりが成長し、能力を発揮できる。そんな社会を築くために、政治はこれまでにも増して、教育の充実に取り組まねばならない。

 先の衆院選では、各党が公約に家計の教育費負担の軽減策をうたった。

 自民は、低所得世帯の学生向けに修学支援制度を設けるなどした実績をアピール。公明は、同制度の対象を中間層にまで広げ、高校3年生までの子ども全てに1人10万円相当の「未来応援給付」を届けるとした。

 次代を担う子どもを大切にしようという考えに異論はない。だがそのための予算をいかにひねり出すのか。自公政権の継続を果たしたいま、国民との約束をどうやって果たしていくか。政権の真価が問われる。

 「新しい資本主義」をかかげる岸田首相は先月の所信表明演説で、新自由主義的な政策の下でやせ細った中間層を拡大させる方策として、教育費の支援強化に言及した。

 日本の教育に対する公的支出は、諸外国に比べて少ない。経済協力開発機構OECD)の18年の調査によると、加盟国平均は国内総生産比4・9%だったが、日本は4・0%にとどまる。最近になって、先の修学支援制度や幼児教育の無償化が始まったが、長年の遅れを取り戻すのは容易ではない。

 あわせて大切なのは、その予算を有効に活用する態勢づくりだ。かぎは現場の学校にある。

 子の学習進度に応じて丁寧に指導したり、それぞれが抱える問題に早めに気づいて対応したりするには、教員が日ごろから余裕をもって児童・生徒と向き合うことが欠かせない。

 だが長時間労働が常態化し、疲弊して心身を病む教員が大勢出ている現状で、それを期待するのは困難かつ酷と言わざるを得ない。教職を志望する若者を増やすためにも、学校の働き方改革は急務の課題だ。

 社説でも繰り返し指摘してきたように、不要な業務の廃止や外部人材の活用などを通じて、教員が背負う荷物を軽くする必要がある。国・自治体は連携して制度や実務慣行の見直しを進め、働きやすい環境づくりに力を尽くしてほしい。

 その際忘れてならないのは、学校や家庭の声にしっかり耳を傾けることだ。

 大学入試改革、教員免許更新制の導入、そしてコロナ対策の名の下での唐突な一斉休校要請など、官邸主導・現場無視で進めた政策の失敗や混乱が近年相次ぐ。首相がいう「聞く力」は本物かが、ここでも試される。