(社説)コロナ禍と支援 民間の連携をさらに

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 健康への不安や障害、就労、教育……。支援が必要な家庭では、複数の困難が連鎖し深刻さを増す例が少なくない。コロナ禍はそれを浮かび上がらせた。

 悪循環を断つには、国や自治体の施策はもちろん、民間団体の力が不可欠だ。官と民の連携に加え、民間同士の協力をもっと広げられないか。複雑にからみあう課題に向き合うために、活動分野や組織形態、地域を超えた態勢が求められる。

 千葉県では、養護施設や里親のもとを離れた若者を支援する「アフターケア」の仕組み作りが動き出した。今年1月に発足し、医療・福祉や司法、教育にかかわる有志が集う「ちば子ども若者ネットワーク」、児童養護施設を運営する社会福祉法人、地域福祉を担うNPO法人の三団体が手を結んだ。

 人により抱える悩みやその深刻度はまちまちで、必要な支援も異なる。漏れなく柔軟に対応できるよう、多様な組織が協力するシステムを目指す。コロナ禍で活動は制約を受けてきたが、子ども・若者と支援者側が気軽に集まれる居場所作りを掲げ、オンラインでシンポジウムや情報交換を重ねている。

 5年前の熊本地震の直後に立ち上がった「ブリッジクマモト」は、ホームページ制作やイベント企画などの本業を持つ地元の5人が技能を持ち寄り、社会課題の解決を目指す一般法人だ。「デザイン」をキーワードに、被災家屋で使用され廃棄予定だったブルーシートを使ったバッグやお守りを企画・販売し、収益の一部を復興支援団体などに寄付してきた。

 いま取り組むのは、コロナ禍で仕事が減った県内の障害者福祉作業所への支援。地元産の小国杉を使ったげた作りを発案し、げた本体の加工や鼻緒作りを委託する計画だ。それぞれ作業所運営と市場調査を手がける2社とチームを組み、地域でお金を循環させながら長く続けられる仕組みを目指す。

 千葉、熊本の取り組みは「休眠預金」を使って進められている。金融機関の口座のうち、入出金が10年以上途絶えた分を民間による支援活動にまわすのが休眠預金の活用事業だ。本格開始から3年目に入り、昨年度から加わったコロナ禍対策分も含め、既に120億円余りが具体的な取り組みに充てられた。

 民間による支援では資金の確保が難題だけに、活用事業は大きな追い風となる。一方で、支援のためのノウハウやスタッフが豊富な団体は、まだまだ多いとはいえない。

 休眠預金の活用を、民間による公益活動の基盤強化につなげる。そのためにも連携を広げ、知恵や工夫を共有したい。