(社説)コロナ下の留学 受け入れに知恵絞って

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 新型コロナ対策で止まっていた外国人の新たな入国を認める措置が、先週から始まった。

 欧州を中心に感染が再拡大しており、このタイミングで門戸を開くことに懸念の声もある。だからといって人の往来が途絶した状態を続ければ、各方面にさらに深刻な影響が及ぶ。

 ワクチンの普及などで、この夏までとは状況が変わってきていることを念頭に、感染防止と海外との交流の再開という二つの要請をどうやって両立させるか、真剣に検討・調整していかなければならない。

 新規入国は1月以降、五輪関係者を除き、人道上の理由など「特段の事情」がある人に限られてきた。今回、制限が緩和されたのは、短期滞在のビジネス関係者、技能実習生、そして留学生だ。ただしこの3類型も含め、計3500人が1日の入国者数の当面の上限とされる。

 経済活動の再建は社会が直面する最大の課題の一つであり、大きな関心が集まる。同時に、日本への留学を志した若者らが置かれている境遇や将来にも、しっかり目を向けたい。

 17~19年は毎年12万人以上が入国していたが、コロナ禍に見舞われた昨年は5万人を割り込んだ。今年は、ごく一部にあたる国費留学生の受け入れが認められただけで、私費留学生は自国に留め置かれた状態が続く。オンラインの講義や指導は行われているが、限界があるのは改めて言うまでもない。

 ここまで厳しい措置をとったのはG7で日本だけだ。既に日本で学ぶことをあきらめ、留学先を変えた学生も出ている。

 その弊害は直ちに実感できないかもしれない。だが、留学は国際交流を深め、知日派と呼ばれる人を増やし、教育・研究を競争力のあるものにする礎だ。勉学機会を奪われる学生はもとより、日本側がこうむる損失も大きなものがある。

 教育は「不要不急」ではない。この当然の認識に立って、政府は大学や日本語学校などと連携を密にし、門を狭めぬよう知恵を絞ってもらいたい。

 例えばビザの取得には、受け入れ機関による申請と政府の審査が必要だ。ビジネス関係者らにも共通する話だが、こうした事務作業がボトルネックになってはならない。人員を適切に配置し、場合によっては書類の簡素化なども考慮すべきだ。

 帰国する日本人に対しては、滞在していた地域の感染状況に応じて、検査や待機の条件を変えるなどして、円滑な入国を図っている。外国人だからといって一律に厳しくしなければならない科学的な根拠はない。過重な負担を強いていないかを点検し、適宜見直すべきだ。