(社説)気候変動会議 新目標への挑戦に動け

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 まがりなりにも合意した目標をどう達成するのか。これからの各国の姿勢が問われる。

 国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)で、産業革命前からの気温上昇を1・5度に抑える努力を追求すること、石炭火力発電を段階的に削減することが合意された。

 温暖化対策の国際ルール「パリ協定」は、世界の気温上昇を2度未満、できれば1・5度に抑える努力目標を掲げてきたが、「1・5度」が事実上の新目標となった。

 長年温室効果ガスを出しながら発展してきた先進国による、途上国温暖化対策への資金支援を、25年までに倍増することも合意した。日本も先進国の一員として、世界でも国内でも、積極的な貢献が期待される。

 日本は昨年、50年までに排出を実質ゼロにすると表明、法律に明記された。30年度に46%削減する目標も掲げ、達成に向けたエネルギー基本計画も策定した。しかし、30年度時点でも石炭火力発電に19%頼る計画だ。COP26に出席した岸田首相は、燃料を石炭や天然ガスからアンモニアや水素に置き換えていく排出削減策を使って、火力発電を活用する考えを示したが、評価されたとは言い難い。

 合意文書の表現は最後までもめた。石炭火力発電は、当初の段階的「廃止」が「削減に向けた努力」に修正。削減対象も温室ガスの「排出削減策がない」発電所に限定する文言が加わった。温暖化抑制には不十分な表現だが、石炭火力を重要なエネルギー源としている中国やインドも合意した意味は大きい。

 今回の会議で、英国はさまざまなテーマでイベントを設定して、すべての参加国の合意が必要な議題とは切り離し、意欲のある国や企業が先んじて対策を進める「有志連合」の賛同を募り、全体の流れを作った。

 メタン排出削減や森林破壊防止は日本を含む100カ国以上が参加。日本は不参加だが、石炭火力発電廃止にはベトナムインドネシアなど40カ国以上、新車販売をすべて排出ゼロのゼロエミッション車とすることにも多くの国や企業が賛同した。

 電気自動車(EV)への移行を急ぐ欧州に対して、日本はガソリンと電気併用のハイブリッド車(HV)にこだわってきた。13日にはトヨタ自動車など国内5社が、脱炭素エンジンの研究開発での連携を発表した。

 発電でも自動車でも、複数の選択肢を持つことは大切だが、世界に受け入れてもらえなければ市場で後れをとる。気候変動に立ち向かうには、現在の技術や生活スタイルにこだわらず、雇用を守りつつ構造改革を進めるイノベーションが必要だ。

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