(社説)米中首脳会談 対抗より協働の道探れ

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 バイデン氏「我々は自国民だけでなく世界に責任がある」

 習近平(シーチンピン)氏「人類は、地球という同じ村に住んでいる」

 2大国の首脳がともに国際的な責務を確認し合った。その言葉どおり、紛争や破局を避けるよう、最大限の理性を働かせる関係をめざしてもらいたい。

 米国と中国がオンラインでの首脳会談を開いた。バイデン政権発足後では、電話協議を除き初めての「顔合わせ」だ。

 3時間半にわたり、台湾などをめぐる軍事的緊張から通商問題、新疆や香港の人権など広範に意見を交わした。

 対立点は広く、深い。1回の会談で打開できるはずもなく、目に見える進展はなかった。それでも穏当な滑り出しを演出した今回を出発点に、今後も対話を重ねる努力をすべきだ。

 近年、互いの不信感は深まっている。米国は、中国の意図が戦後国際秩序への挑戦にあるとみて対抗姿勢を強めている。中国は、共産党による一党支配そのものに米国が異を唱え始めたとみて警戒している。

 コロナ禍を機に、統治体制の優位を争う様相も帯びてきた。世界最多の死者を出した米国に対し、中国は自らの危機対応を誇示し、中国流の「民主」の強さを喧伝(けんでん)している。

 軍事や技術競争などにとどまらない理念の確執は、一朝一夕には解消されまい。中国側は会談のなかで、東西冷戦に言及して「(当時の)災いが戒めになる」と強調したという。歴史を繰り返さないためにも、米中首脳は世界を二分する「新冷戦」にしない知恵を絞るべきだ。

 喫緊の優先課題は、台湾海峡はじめ南シナ海東シナ海での不測の衝突を防ぐ方策だ。

 米欧はこれまでの慣例を超えた台湾支援の交流に動き、中国も軍事的な威圧を強めている。米中はともに相手の譲れぬ一線を認識し、危機管理メカニズムを急ぎ構築せねばならない。

 米中間の核戦力管理は、ただちに交渉を始めるべき問題だ。ロシアを含め、新たな核軍拡を食い止める責務がある。

 トランプ前米政権下で混迷した通商をめぐる多国間枠組みづくりも、各国が凝視するテーマだ。米中どちらであれ、大国のエゴに満ちた行動に走れば、悪影響は長期に及ぶ。

 来年に習氏は党大会、バイデン氏は米中間選挙があり、共に対外譲歩は難しい事情がある。しかし、今世紀の世界の安定はこの両国の健全な関係づくりにかかっている。

 北朝鮮やイランの核問題、さらに気候危機など、両国間には利害が重なる課題もある。その議論を起点に、協働できる領域を広げてほしい。

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    駒木明義
    (朝日新聞論説委員=ロシア、国際関係)
    2021年11月17日10時48分 投稿
    【視点】

    コロナを恐れる習近平主席は昨年来、中国国外に出ていません。今回の米中会談がオンラインで行われたのも、それが理由でしょう。ロシアのプーチン大統領もコロナを恐れることでは習近平氏に負けていませんが、今年6月、バイデン大統領と会うために、スイスの

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