(社説)みずほ処分 再出発の道は険しい

[PR]

 みずほフィナンシャルグループ金融庁から業務改善命令を受け、社長と銀行頭取が責任をとって辞める意向を表明した。辞任は当然だが、判断が遅きに失した。しかも来春まで現体制で臨むといい、真の経営刷新につながるのか疑問が残る。

 みずほは今年2月以降8回のシステム障害を起こした。金融庁は、経営陣がシステムの保守費用を削減するなど、リスクや専門性、ITや営業の現場の実態を軽視していたと指摘。「言うべきことを言わない、言われたことだけしかしない」企業風土も真因に挙げた。02年、11年の大規模障害とも通底する問題だとし、自浄作用が機能していないとも断じた。

 財務省もみずほに対し、外為法上の是正措置命令を出した。9月の障害時に、資金洗浄対策の手続きを省いたという。

 いずれも社会インフラを担う銀行業、しかも国際的にも動向が注視されるメガバンクとして落第点が付いたに等しい。経営の抜本的な立て直しが急務だ。

 みずほの坂井辰史社長は処分後の会見で、辞任でけじめをつけるとしつつ、新体制発足まで自ら再発防止策の策定や推進に全力を挙げると強調した。また、11~18年にグループトップを務め、いまも取締役会長の任にある佐藤康博氏の来年の退任も発表したが、「経営責任の明確化とは別」と述べ、引責ではないと位置づけた。

 実は、金融庁が今回指摘したようなシステム軽視や企業風土の問題は、6月にみずほの外部調査委員会がまとめた報告でおおむね指摘されていた。だが、当時の役員の処分は減給だけで、その後の8~9月にも障害再発を繰り返した。長年にわたる企業統治そのものが真因とされているのに、当局の処分まで主体的に進退を決することができなかった現体制を引きずったまま、新たなスタートが切れるのか。現状では、その道は険しいと言わざるをえない。

 みずほの企業統治は経営の執行と監督の分離を掲げる。取締役13人中6人が社外取締役で、最高裁判事経験者や、有力企業の元トップ、経営団体や政府の審議会の要職に名を連ねてきた著名人が並ぶ。取締役の選任や解任もそうした社外役員が主導する仕組みだ。

 金融庁は今回の処分で、取締役会が「グループCEOや主要経営陣の候補者の人材像について十分な議論を行っていない」と述べ、執行側だけでなく監督側の機能不全も指摘した。問われているのは企業統治総体の変革だ。グループ内外の人材を生かし、企業風土を根本から変えうる体制を早急に構築できるかどうかが、その試金石になる。

連載社説

この連載の一覧を見る