道をひらく、未来を変える 朝日新聞社のクラウドファンディング「A-port」
朝日新聞社が運営するクラウドファンディング「A-port」(エーポート、https://a-port.asahi.com/)から、注目のプロジェクトを紹介します。
■生理の問題、ケニアにも根深く 知識や布ナプキン、広めたい
「ヤギの皮をナプキン代わりにしている」「月経中は、経血がしみこむ砂の上に座ってやり過ごす」「生理中、からかわれるので、学校を休む」……。ケニアのトゥルカナ郡では、月経と付き合う女性たちがこんな悩みを抱えている。日本でも「生理の貧困」として月経のある人の生活をどうサポートするかが話題になったが、月経中に日常生活が制限されかねない実態は、ここにも根深く存在している。
「これまで、月経は黙って『我慢』するものでしかなかった。その現状を変えたい」。特定非営利活動法人「ピースウィンズ・ジャパン」のケニア事業担当で、月経に関する啓発活動にあたってきた相島未有沙さん(30)はこう話す。
きっかけは、同国で別の支援活動を行っていたときのこと。気温が高く、清潔なトイレも少ない。月経中は不快感も強かったが、現地の女性たちは十分な生理用品も持たず、不衛生な環境で過ごさざるを得ないことに気付いた。貧しい家庭が多いほか、家計管理を担う父親が月経に対し協力的でないことが多く、生理用品の購入が「後回し」にされていた。
月経に関する知識が十分ではない状況だったこともあり、助成金を利用し、男女ともに「月経」の仕組みなどを正しく理解してもらうための研修を開催するように。同時に、繰り返し使える布ナプキンを配布し、その製作も現地で担えるようなサポートも始めた。これまで、約4千人が研修を受講したほか、布ナプキンの現物を手にしてきた。「月経が女性だけの問題ではないとわかった」「月経中にはサポートが必要だと感じた」など男性側にも理解が広がり、研修の効果を感じているという。
相島さんは「月経中も女性たちが生き生き過ごせるようになることが目標。寄付が集まれば、より多くの地域で広めていきたい」と話す。布ナプキンの製作費用(1千円で2個)のほか、研修開催費用(5千円で20人分)などを募っている。
(中井なつみ)
《目標額》 500万円
《特典例》 全コース(1千円から)でサンクスイベント招待(オンラインで現地の様子を伝える予定)など。
■バチカンと日本、交流の歴史解明へ
キリスト教伝来以降、450年にわたる日本とバチカンの交流の歴史を包括的に研究する「バチカンと日本 100年プロジェクト」(主催・公益財団法人角川文化振興財団、共催・朝日新聞社)が、研究資金の支援を募っている。
プロジェクトは、38年ぶりとなる2019年11月のローマ教皇来日をきっかけに企画された。バチカンにある日本関係文書が特別に開示され、10人を超える日本の研究チームによる調査研究が進められている。ベールに包まれた歴史を明らかにする貴重な機会だ。
研究分野は多岐にわたる。11月中旬に上智大学で開かれたシンポジウムでは、キリスト教弾圧が強まった江戸時代初期、日本のキリシタンが教皇パウロ5世に送った奉答書に最高品質の和紙が使われていたという調査報告や、今年に入って公開された史料をもとにバチカンと日本が1942年に国交を樹立した背景を読み解く報告など、成果の一端が示された。
プロジェクトを支援すると、支援の金額に応じて、最古のカトリック定期刊行物の一つ「ラ・チビルタ・カットリカ」日本版の配布や特別セミナーの聴講といった特典がある。
《目標額》 1千万円
《特典例》 3千円以上のコースで「ラ・チビルタ・カットリカ」日本版、1万円以上のコースで特別セミナー聴講など。
■「マクドナルド・ハウス」を支援
埼玉県立小児医療センター内にある子どもの治療に付き添う家族の滞在施設「ドナルド・マクドナルド・ハウス さいたま」が、感染症対策に必要な加湿器や寄贈された食材を保管する食品庫などの購入費用を募っている。
施設は寄付と募金、ボランティアで運営。開設5年で、のべ1380以上の家族を受け入れてきた。加湿器が春に故障したが、コロナ禍で募金活動が難しくなり、購入費用の工面ができなくなった。
◇支援はクレジットカード、銀行、コンビニでの決済のほか、現金書留(5千円以上)も受け付けています。問い合わせは電話03・6869・9001(平日午前10時~午後5時)。
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