(社説)統計書き換え 直ちに真相を究明せよ

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 建設工事の受注実態を調べる政府の統計で、建設業者から提出されたデータを国土交通省が書き換えていた。国内総生産(GDP)の算出に使われるなど、公的統計でも特に重要とされる53の基幹統計を構成する。いつから、なぜ行われてきたのか。データの誤りはどれほどあり、影響はどこまで及ぶのか。第三者を交えて徹底的に調べなければならない。

 問題が明らかになった「建設工事受注動態統計」は、抽出した全国の約1万2千社に、公的機関や民間から受注した工事の実績を毎月報告させ、国交省が集計、公表する。

 国交省は、紙の調査票の回収にあたる都道府県の担当者に対し、業者が期限を過ぎて数カ月分の調査票をまとめて提出した場合、その合計を最新1カ月の受注実績のように書き換えるよう指示していた。都道府県側は消しゴムで元の数字を消して鉛筆で書き換え、その数は年1万件ほどになったという。

 書き換えの結果、二重計上が発生。ある月に未提出だった業者の分は、同じ月の提出業者の平均を計上するルールもあるため、データが過大になる結果を招いた。

 期限内に届かない回答がかなりあるという事情はあったようだが、生のデータそのものを書き換える行為は到底、認められない。重要な統計に携わっているという自覚が国交省、都道府県ともに欠けていたのではないか。

 公的統計を巡っては、3年前に発覚した毎月勤労統計の不正により、延べで2千万を超える人の雇用保険などの給付額が少なくなったとして社会問題になった。それを受けた一斉点検でも、今回の件は見逃された。会計検査院が9月に参院に出した報告の中で指摘されたが、その事実も国交省は公表しなかった。いずれも理解できない。

 政府全体として統計改革を進めている最中に、今回の問題は明らかになった。昨年6月に公的統計基本計画の一部変更を閣議決定し、第三者監査などを通じて統計作成プロセスの改善を図るなどとしているが、取り組みを加速させる必要がある。

 例えば、基本計画で重要性を指摘しているオンライン調査を推進すれば、今回のような書き換えを防ぐ効果も期待できる。しかし会計検査院によると、導入自体は公的な298統計の85%に達したが、その6割では回答全体に占めるオンラインの割合が半数未満にとどまる。

 政府は公的統計を「国民の合理的な意思決定を支える情報基盤」と位置づける。であれば、改革が実のあるものになるよう体制を強化すべきだ。

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