(社説)再犯を防ぐ コロナ下でも着実に

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 これまでの成果を踏まえ、罪を犯した人の社会復帰を進める施策に、引き続き力を入れる必要がある。本人はもちろん、それが人々の安心につながる。

 昨年末に公表された21年版犯罪白書によると、刑務所を出た人が2年以内に再入所する割合が、19年に初めて16%を切った。かつては20%を超す時期もあり、政府は12年に「10年間で2割以上減少させる」との目標を設定。高い壁と見られたが、実現にこぎつけた。

 刑務所、保護観察所、帰住先の自治体、民間が連携して、出所後の住まいや仕事などの環境を整える地道な取り組みが、功を奏したといえる。

 白書には考えさせるデータがいくつか紹介されている。

 例えば、刑期いっぱい服役した人が2年以内に再入所する率は23・3%で、仮釈放された人の10・2%の倍以上だった。

 仮釈放には、身を寄せる人や場所があるなどの条件を満たさねばならず、逆に言えば満期出所者にはそうした支援のない人が多い。加えて満期の場合は、保護観察官の監督を受けない代わりに、指導や助言を得ることもできない。再入率が大きく異なる理由といわれる。

 このため、政府も仮釈放を後押しする政策を進めてきた。一時は5割を割り込んだ仮釈放率は11年に上昇に転じ、20年は59・2%になった。

 近年は出所が見込まれるかなり前から、保護観察官が受刑者の家族や自治体と接触し、仮釈放の条件整備に関わっている。「塀の中」と「外」とを有機的に結ぶことが、再犯を減らし、人々を守ることにつながる。

 満期釈放者については、さらに粘り強いサポートが求められる。人間関係に恵まれないだけでなく、7割以上は「精神・身体上の配慮が必要」とされ、福祉サービスが欠かせない。09年度から全都道府県に開設された「地域定着支援センター」が、両者をつなぐ役割を担う。

 釈放の形がどうあれ、心配なのはコロナ禍の影響だ。

 厚生労働省法務省が連携して出所後の就労を支援する制度の対象者のうち、20年に実際に仕事につけたのは46%で、前年の50%から下落した。また、保護観察期間が終わった時点で無職状態の人は近年減る傾向にあったが、20年は25%と前年の21%より増えた。社会的に弱い立場の人にしわ寄せが及ぶ傾向がここにも表れているようで、今後の行方が気がかりだ。

 再犯を防ぐ決め手は「居場所と出番」だといわれる。地域でそれぞれの仕事や役割を果たす意義は大きく、民間の協力雇用主や保護司らの協力も得ながら犯罪のない社会をめざしたい。