(社説)建設統計不正 実施体制 一から見直せ

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 公的な統計への信頼を根底から揺るがす事態である。問題を起こした国土交通省が再発防止を徹底するのはもちろん、政府全体で統計行政のあり方を抜本的に見直さねばならない。

 政府の基幹統計が国交省によって書き換えられていた問題を調べていた第三者による検証委員会が、報告書をまとめた。「作為的とは確認できない」としながらも、責任を追及されるのを恐れて国交省は問題を矮小(わいしょう)化し、外部への正確な説明を避けたと認定した。

 問題になった建設工事受注動態統計では、調査対象の建設業者が期限後に数カ月分の受注実績をまとめて提出した場合、それを直近1カ月分に合算して書き換えるよう、調査票の回収を担う都道府県に国交省が指示。推計方法を変更した2013年度からは一部で二重計上が生じ、数値が過大になっていた。

 検証委は書き換えが始まった経緯を究明できなかったが、遅れて提出されたデータを無駄にすまいとの思いがあったと推測。不適切なやり方を漫然と続けていたとみている。

 国交省は、幾度も訪れた修正の機会を生かそうとせず、対外的にも伏せたままだった。

 厚生労働省の統計不正を受けて19年に行われた政府統計の一斉点検では、国交省でも担当者が合算を報告すべきだと進言した。しかし、上司が消極的で見送られたという。

 会計検査院に問題を指摘され、書き換え中止を都道府県に伝えた後の20年2月の公表分を巡っても、合算しないよう求める声が現場からは出た。だが数値の急な変動を恐れた課長は、前月分だけを合算する「折衷案」を採用。省内で書き換えを続け、21年4月に実施した推計方法の再変更に潜り込ませて収束させようとした。たとえ検証委が指摘する通り、二重計上が推計方法の変更で始まったとしても、その後の対応は隠蔽(いんぺい)そのものと断ぜざるを得ない。

 報告書は、統計行政を重視してこなかった官庁の体質が背景にあるとも言及している。厚労省の例を考えても、今回の不正の背後にあるのが、国交省特有の問題とはとても言えまい。

 統計部門での慢性的な人材不足と、制度設計から集計の実務まで総合的に理解できる職員の不在は深刻だ。専門的な人材育成や、外部の目も入れたチェック体制の強化は、政府全体での取り組みが求められる。

 問題の統計の過大計上が国内総生産(GDP)の計算に与えた影響など、今回の検証では積み残された課題も多い。国交省の関係者の責任を問う必要もある。あす始まる通常国会でも徹底的に議論すべきだ。