「相互推薦」自公あつれき 参院選へ、自民県連「かなり不本意」 公明、協力選挙区を限る構え=訂正・おわびあり

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 夏の参院選に向け、自民党公明党が互いの候補を支援する「相互推薦」に向けた調整が難航している。自民側の準備が遅く対応も不十分として、公明が反発。支援するのは一部選挙区に限るとの方針を打ち出した。与党間のあつれきの背景に、何があるのか。

 自民の遠藤利明選挙対策委員長は3日の党の会合で、公明について「二十数年間一緒に連立を組んで選挙協力をしてきた。信頼関係は決して壊れない」と強調した。相互推薦の実現にも意欲をみせたが、それは行き詰まりを見せる調整の裏返しでもある。

 兵庫や埼玉などの5選挙区には自民も公明も候補者を出すが、自民が公明候補も支援する代わりに、1人区などで公明が自民を支援するのが相互推薦だ。公明は昨年末までの合意を求めていた。調整が進まない理由のひとつに、自民の地方組織の事情がある。

 兵庫選挙区(改選数3)は2019年参院選で自民候補は最下位の当選だった。公明候補を推薦したことが自民候補の得票減につながったとみており、公明への支援には消極的だ。埼玉選挙区(改選数4)では当初、候補者2人の擁立を検討。公明を支援する余力はなかった。

 遠藤氏は1月下旬までに5選挙区に入り、地元県連を説得。公明候補を支援することへの理解を得た。党内には「1人区で公明の支援がなければ、落選する候補が続出しかねない」との危機感がある。しかし、県連側は「かなり不本意」との本音を隠さない。

 公明は、県連の姿勢に反発。党幹部は「現場が不本意なら相互推薦をやる意味はない」とし、支持母体・創価学会は支援する候補者は「人物本位」で決める方針を示した。支援するのは協力し合える一部選挙区に限るとの構えだ。

 ■細る両党のパイプ

 自公が連立政権を組んだのは1999年。衆院選では公明が選挙区の自民候補を支え、比例区では自民が公明を応援することを軸にした選挙協力が定着した。一方、参院選で協力し合うのは地方組織が「人物本位」で決めてきた。自民から公明への全国規模の支援が見込めなかったためだ。

 協力が深まったのは13年の参院選だ。埼玉選挙区の公明候補が初めて自民から推薦を得て、自公の候補がそろって当選した。公明は続く16年参院選で自民に5選挙区の推薦を要求。自民も1人区で公明の推薦を得られるとして公明を支援した。相互推薦は19年参院選でも続いた。

 ところが、このときの公明の姿勢に、自民の地方組織内の不満が募った。公明は自民からの推薦を前面に打ち出し、自民を支持する企業などに投票を求め、自民には支持者名簿などを求めた。公明は推薦を得た以上、通常の選挙活動の一環としているが、自民の地方組織には支持層を侵食されたとの認識が広まった。

 ぎくしゃくした関係が続く背景には、両党間のパイプが細っていることもある。菅義偉前首相と創価学会の佐藤浩副会長、自民の大島理森と公明の漆原良夫・両元国会対策委員長のような強固な人間関係は、いまの両党の執行部にはうかがえない。公明幹部は「岸田政権で党同士の深い付き合いができなくなった」と嘆く。(榊原一生)

 <訂正して、おわびします>

 ▼4日付総合4面「『相互推薦』自公あつれき」の記事で、創価学会の「佐藤浩元副会長」とあるのは「佐藤浩副会長」の誤りでした。佐藤氏は昨年学会職員を定年で退いた後も、引き続き副会長を務めています。確認が不十分でした。

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