(社説)東北震度6強 余震を警戒し復旧急げ

[PR]

 すみやかに被害の全容をつかみ、被災者の支援と生活の復旧に取り組まねばならない。

 16日夜、福島県沖を震源とする地震があり、震度6強を観測した東北地方を中心に死者や多数の負傷者が出た。影響は多方面に及ぶ。政府と自治体の緊密な連携が求められる。

 目立つのは転倒や落下物によるけがだ。ふだん使っている家具や家電は、地震の際にしばしば凶器になる。倒れたり飛んできたりしないよう、各家庭でいま一度点検する契機にしたい。

 社会を支えるインフラにも大きな被害が出た。

 とりわけ衝撃だったのは、乗客75人が乗った東北新幹線「やまびこ223号」の脱線だ。営業中の脱線は04年新潟県中越地震上越新幹線以来で、横転などはしなかったものの、17両のうち16両がレールから外れた。

 次の白石蔵王駅に停車するため速度を落とし始めた時に地震を検知し、非常ブレーキがかかったとみられる。事故防止の機能が働いたといえるが、減速中でなかったらどうなっていたか。時間と場所が少し違えば、大惨事になったのではないか。不安は尽きない。

 現場近くでは橋脚が損傷し、線路もゆがんだ。JR東日本は政府の運輸安全委員会と協力して原因の究明にあたり、地震対策に死角はなかったか、洗い直して報告する責務がある。

 JR東に限らない。南海トラフ地震では、東海道新幹線の安全確保が大きな課題の一つになっている。運行するJR東海をはじめとする他の鉄道各社も、この脱線を他山の石として備えを確認してほしい。

 福島県沖では昨年2月にも最大震度6強の地震が起きた。その時、そしておとといと、東日本大震災の記憶がよみがえった人は少なくないだろう。懸念は当然、沿岸に複数ある原子力施設、とりわけ東京電力福島第一原発に及ぶ。万が一にも、汚染水の流出や放射性物質の飛散があってはならない。東電には万全の点検を求める。

 東北地方にとどまらず、首都圏など広い範囲でも停電が起きた。電気、水、ガスなどのライフラインを確保するうえで、今回浮上した課題はないか。事業者はしっかりチェックして、市民の生活を守ってもらいたい。

 気象庁は宮城、福島両県に津波注意報を出した。深夜の呼びかけに人々はどう対応したか。各自治体は精査し、状況に応じて、周知方法の改善や避難経路の確保など、命をつなぐための対策を講じる必要がある。

 地震はいつ起きるか分からない。日ごろから被害を最小限にとどめる地道な対策を重ねて、備えるしかない。