(社説)対ロ追加制裁 国際協調で圧力強化を

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 ロシアによるウクライナ侵略が続き、民間施設の破壊や市民の虐殺が各地で明らかになっている。一刻も早く歯止めをかけるには、国際社会が結束して圧力を強めるほかなく、日本がその一角を担うのは当然である。制裁の輪を広げ、その実効性を高めることにも、積極的な役割を果たすべきだ。

 政府がロシアからの石炭輸入の段階的禁止や新規投資の停止などの追加制裁を発表した。在日ロシア大使館の外交官と通商代表部の職員計8人の国外退去も求めた。岸田首相は記者会見で、ロシア軍の行為を「戦争犯罪」と断じ、国際刑事裁判所(ICC)による捜査を支援する方針も示した。

 日本は発電用石炭の13%をロシアに依存しており、輸入禁止に慎重な意見があった。過去に3例しかない外交官の追放も同様だ。しかし、欧米と足並みをそろえることを最優先した。

 国民生活への影響には、細心の注意を払わねばならないが、第2次大戦後の国際秩序を根底から揺るがし、深刻な国際人道法違反を重ねるロシアの行為は認められないという、意思表明が重要な局面だ。

 石炭はロシアの主な輸出品の一つで、日本の昨年の輸入額は約2800億円にのぼる。禁輸はロシアの軍事力を支える外貨収入を減らす効果が見込める一方で、日本経済にも相応の打撃になる。首相は会見で「早急に代替策を確保し、段階的に輸入を削減する」と述べたが、ゼロにする時期は示さなかった。

 石炭は発電用だけでなく、製鉄などの原材料でもある。すでに国際価格は高騰しており、調達先を切り替えれば、電気代の値上がりや企業のコスト増につながる恐れが強い。政府は経済への影響を見極め、必要かつ効果的な緩和策を検討しなければならない。

 今後の情勢次第では、対ロ制裁のさらなる強化が求められる。石炭にとどまらず、原油などの輸入禁止も浮上する可能性がある。政府と関係企業は、そうした事態も想定し、エネルギー分野のロシア依存を計画的に減らしていく取り組みを、早急に進めるべきだ。

 外交官らの追放は、数十人規模で先行したドイツフランスイタリアに続くものだ。具体的な対象者は明らかにされていないが、ガルージン大使は含まれず、人数も8人と、欧州よりは少ない。ロシアは早速、対抗措置を取ると発表。日本の大使館員の追放が見込まれるが、ロシア国内にいる邦人や日本企業の保護には万全を期してほしい。圧力と同時に、諸外国と連携した外交努力にも全力をあげる必要がある。