(社説)ガソリン補助 価格介入拡充は疑問だ

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 自民、公明の両与党が、原油高対策の強化を政府に提言した。ガソリンや軽油などの値上がりを抑えるために、政府が石油元売り各社に出している補助金について、期限を再延長し、金額も増やすのが柱だ。政府はこれをもとに具体策をまとめる構えだが、制度の拡充には多くの疑問がある。

 この補助金は、昨年後半の原油高を受けて今年1月に始まった。当初は1リットルあたり5円を上限にし、期限は3月末までだった。だが、ロシアのウクライナ侵攻で原油価格がさらに急騰したため、3月に上限を25円に上げ、期限も4月末に延ばした。

 原油価格はその後も高止まりしているが、補助金の効果でレギュラーガソリンは平均で1リットルあたり170円台前半に抑えられている。利用者の負担軽減に役立っているのは確かだろう。

 とはいえ、政府自らがこの仕組みを「時限的な激変緩和措置」と位置づけてきたことを忘れてはならない。

 輸入に頼る原油が国際市場で値上がりすると、日本経済全体でみれば負担は避けられない。ガソリンのような必需品は急に消費を減らせないので、価格の変動をならし、ショックを和らげることは考えられる。ただ、それはあくまで緊急避難だ。

 中長期的には、社会全体で資源価格変動への耐久力をつけ、状況に適応していくことが望ましい。化石燃料の消費が地球温暖化という負荷をもたらしていることを、経済活動の費用に織り込むべきときでもある。

 そうした方向性を踏まえずに、政府が巨額の財政資金を投じてまで市場に幅広く介入し続ければ、値上がりを通して自然に需要が抑えられるメカニズムが損なわれてしまう。

 政府は、資源高で困窮するような家計や一部の事業者向けに的を絞った支援策を整えつつ、価格への介入は規模を徐々に縮小していくべきだ。脱炭素化に向けて、省エネやエネルギー利用の構造転換を加速させることも急務になる。

 ウクライナ情勢など見通しにくい要因があるのは事実だが、政府はいまの補助金を漫然と継続・拡充するのではなく、むしろ「出口」に向けた道筋こそ描く必要があるのではないか。

 原油高対策では、ガソリン税を一時的に引き下げる「トリガー条項」の発動を求める声も与野党の中で根強いが、補助金以上に問題が多い。引き下げ幅が固定され、発動前後に価格が乱高下しやすく、事業者の作業負担も大きくなる。

 「わかりやすさ」のアピールや政治的思惑で検討が続いているのだとすれば、およそ生産的な議論とはいえないだろう。

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