(社説)旭川のいじめ 認定拒んだ経緯検証を

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 友人らの行いによって子どもが心身の苦痛を感じたら、「いじめ」があったと認め、適切かつ迅速に対処する――。いじめ防止対策推進法の根底にあるこうした考えに反し、手をこまぬいてきた学校と教育委員会は猛省しなければならない。

 北海道旭川市の公園で21年3月、家を出て行方不明になっていた中学2年生の女子生徒が凍死しているのが見つかった。

 市教委の第三者委員会は先ごろ、亡くなる約2年前に生徒に対して上級生らが繰り返した行為は「いじめ」にあたる、とする中間報告を発表した。

 いじめと死亡との間に因果関係があるかどうかの判断はこれからだ。だが、この2年の間に学校側が「適切」な措置をとっていれば、違った展開になったのではないか。そう思わせる事実が明らかになっている。

 中間報告によると、上級生らは19年4~6月に、(1)女子生徒の体を触る(2)性的な行為をさせ、その様子を撮影した動画をLINEで送信するよう求める(3)目の前で性的行為をするよう強要する――などをした。いずれも人間の尊厳を傷つけ、刑罰法規に触れると指摘されてもおかしくないものだ。

 ところが学校側はこれらの大半を把握しながら、女子生徒と上級生らは親しい間柄にあるとみて、いじめと認めなかった。到底納得できる話ではない。

 女子生徒は(3)の1週間後、公園で上級生らと話をしているうちにパニック状態になり、「死にます」と言って増水していた近くの川に入り、そのまま入院した。家族が調査を求め、事態を重く見た道教委も、いじめと認定して対応するように指導した。それでも学校と市教委は態度を変えなかった。

 重い腰をあげたのは、転校した女子生徒がほとんど登校しないまま亡くなったことが報じられた後だ。批判を受けて昨年6月に急きょ設けられた第三者委が、生徒や教員ら54人から話を聴き、先の中間報告に至った。

 学校と市教委はなぜ動かなかったのか。どんな事情や背景があったのか。経緯を解明するのが第三者委の重大な使命だ。8月をめどにまとめるという最終報告が注目される。

 13年の防止法制定を機にいじめに対する教員らの認識は変わり、認知件数も大きく増えた。そんななか、旭川市教委が20年度に認めた市内の中学校でのいじめは34件、生徒1千人当たり4・5件で、全国平均の24・9件に比べてずいぶん少ない。

 実態に即した数字なのか、それとも、いじめの存在を認めようとしない傾向・体質があるのか。適切な再発防止策を講じるには、その検証も欠かせない。