(社説)ケアを担う子 早期把握と支援強化を

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 家族の介護や世話を日常的に担う子どもたち――「ヤングケアラー」への支援の動きが広がってきた。悩みを抱える子どもたちの存在に周囲が気づき、本人が必要とする支援につなげることが大切だ。その意識を、社会で広く共有したい。

 厚生労働省は4月に、小学6年生と大学3年生を対象にしたヤングケアラーの実態調査の結果を公表した。「世話をしている家族がいる」と答えたのは6%余りで、昨年調べた中高生とほぼ同じ割合だった。家族の世話をしている子どもらは欠席や遅刻をしがちなどの傾向も同様にみられた。

 それぞれ家庭の事情で、若い世代が家族の世話や家事を手伝うことはあるだろう。だが、子どもの育ちや学びに支障をきたしかねないほどの負担であれば行き過ぎだ。

 「ヤングケアラー」の認知度はまだ低く、本人が自覚していないケースも少なくない。何が過重な負担かの線引きは難しい面もあるが、子どもたちを孤立させないためにも、実態把握を急ぐ必要がある。

 厚労省の調査では、小学生のヤングケアラーが求める支援について「勉強を教えてほしい」「話を聞いてほしい」などが挙がった。一方、大学生の調査では「学費への支援」「進路や就職などの相談」も目立った。年代に応じて、きめ細かな支援が求められることが、浮き彫りになっている。

 それぞれが、どんな助けを必要としているか。それをつかむためには、子どもの様子や変化を見逃さないよう、周囲が関心を払うことが大事だ。

 全国で初めて、20代の若者を含むケアラー支援の相談窓口を設置した神戸市では、学校や福祉の関係機関への周知、啓発活動に力を入れている。昨年度受けた相談の多くが、そうした関係機関からの情報提供だった。

 子どもたちが相談をしやすい環境づくりを探る動きもある。鳥取県は今年度、従来の児童相談所の窓口とは別に、民間団体に委託してSNSを使った相談窓口を開くことを県の事業として検討中という。

 厚労省は今年度、こうした自治体の取り組みへの補助金を予算計上している。積極的に活用し、広げてほしい。

 国会で審議中の児童福祉法改正案は、子育て支援のため家庭を訪問して掃除や調理などを支援するサービスの創設をめざしている。使い方次第で、ヤングケアラーの負担を減らす効果も見込める。介護保険や福祉サービスの活用も含め、学校と福祉の現場の連携も欠かせない。

 社会全体の問題として、重層的な支えを築くことが必要だ。

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    田中宝紀
    (NPO法人青少年自立援助センター)
    2022年5月5日14時18分 投稿

    【視点】厚生労働省によるヤングケアラーの事例には「⽇本語が第⼀⾔語でない家族や障がいのある家族のために通訳をしている」子どもが含まれています。私がふだん現場で出会う子どもたちの中にも、「子ども通訳」として、保護者だけでなく周囲の同国出身者の病院や行