(社説)米韓首脳会談 視野広げ 連携再起動を

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 北朝鮮と向き合うには、対話であれ、圧力であれ、米国と韓国の緊密な連携が欠かせない。両首脳は過去の教訓を生かし、朝鮮半島の非核化へ向けて着実な進展を築かねばならない。

 バイデン米大統領が訪韓し、就任から10日余りの尹錫悦(ユンソンニョル)大統領と会談した。バイデン氏はその後に来日し、岸田首相ときょう会談する。

 今回の歴訪で、米国は新たなアジア戦略を発信する狙いがある。地域最大の同盟国、日本と韓国との結束を示し、欧州の危機下でも中国への対抗に注力する姿勢を強調している。

 米韓が出した共同声明には、様々な同盟の強化策が盛り込まれた。とりわけ半導体の供給をめぐる経済安保の協力を強調したのは、中国との技術覇権争いをめぐる牽制(けんせい)に他ならない。

 同時に、両首脳が確認した懸念は北朝鮮である。4年前に核実験や大陸間弾道ミサイル発射を中止したが、今回の歴訪にあわせて強行再開するかのような不穏な動きを見せている。

 前任の文在寅(ムンジェイン)政権は南北の融和路線をとるあまり、非核化の具体的な措置を引き出せず、対米関係もぎくしゃくさせた。

 これに対し尹氏は、韓国が朝鮮半島にとどまらない地球規模での役割を担うとし、対米関係を包括的な同盟に進化させる意欲を示している。

 米韓関係が回復するのは望ましい。ただ一方で、軍事的な抑止一辺倒に傾くことで逆に事態の不安定化を招いた過去の失敗も忘れてはなるまい。

 米側は「核の傘」を含む拡大抑止の提供を確認した。米韓は合同軍事演習の拡大のほか、状況次第で米国の戦略爆撃機などを配備する方針にも触れた。

 いずれも北朝鮮が反発し、軍事挑発の口実としてきた動きだ。尹政権の高官らには強硬姿勢が目立つが、抑止と対話の双方を駆使するバランス対応にこそ知恵を絞る必要がある。

 その意味でも北朝鮮の新型コロナ問題に対しては積極的に支援に動き、国際社会の協調体制に導いていくべきだろう。

 米韓は、日本との3国の連携の意義も確認した。米国は、軍事上も経済安保上も日韓の協力を求めている。尹政権は日本との政府間対話に乗りだし、歯車がかみ合い始めている。長く冷え込んできた日韓関係を再起動させるときだ。

 日米韓はいまや、北朝鮮問題に限らず有効な枠組みと考えるべきである。世界のどの国であれ、力による現状変更は許さない秩序を築くうえで、3国が結束する意味は大きい。同時に、米中対立の激化を抑制するブレーキ役としての役割も、日韓は自覚しておく必要があろう。