(社説)太陽光義務化 都は手本になる制度を

[PR]

 建物を新築するときには原則として太陽光発電パネルを取り付ける――。そうした制度づくりを東京都が進めている。戸建て住宅を含めた義務化は、全国で初めてだ。建物へのパネル設置は広げる余地が大きく、脱炭素に欠かせない。手本になる制度を練り上げてほしい。

 都の環境審議会がまとめた案によると、延べ床面積2千平方メートル以上の建物は発注者に義務を課す。より小さい建物は、建築を請け負う事業者が大手の場合に限って、設置を求める。

 日当たりが悪い場所もあり、事業者の義務は総量で定め、どの住宅に付けるか柔軟に対応できるようにする。小規模の工務店などには義務付けない。年間着工戸数の約半数が、設置義務の対象になるという。

 政府は、発電に占める再生可能エネルギーの比率を30年度に36~38%とする計画で、拡大が急務だ。太陽光は大規模なメガソーラーが増えてきたが、平地の不足や防災面の課題も指摘されている。建物への設置は有望な打開策だ。

 都内の住宅への取り付けは、条件の適した建物の4%程度、築6年未満の建物でも13%弱にとどまる。伸びしろは大きい。

 設置には戸建てで100万円程度の費用がかかり、住宅価格を押し上げる可能性がある。一方で電気代が節約でき、都の試算では約10年で回収可能という。リースなどで初期費用を減らす方法も例示している。

 新築時に加え、破損・故障したときの出費を抑える方法や、パネルの再利用を進める仕組みづくりなど、課題の解決にさらに工夫を重ねてほしい。義務対象の線引きなどで意図しないゆがみが出ないかなども注視しつつ進める必要がある。

 太陽光発電は、蓄電設備を整えれば夜間の利用や停電時の備えにも生かせる。住民の理解を得ながら普及を促すためにも、利点や正確な情報を丁寧に説明していくことが必要だ。

 新築建物への義務化は、欧米でも進んでいる。国内では、京都府・市、群馬県が一定規模以上の建物に義務づけた。

 政府の関係省庁が設けた検討会は昨夏、脱炭素社会に向けた住宅・建築物のあり方についての報告をまとめ、30年に新築住宅の6割で太陽光設置を目ざすとした。だが、義務化までは踏み込まなかった。

 東京都はかつて、ディーゼル車の排ガス規制に先鞭(せんべん)をつけた。国が取り組めないことにまず自治体が着手し、できることを示す影響は大きい。長く使う住宅は、対策の遅れが長い間響く。試行錯誤を重ねることを含め、全国を引っ張る役割を果たすよう期待したい。

連載社説

この連載の一覧を見る