(社説)中国の空母 緊張高める軍拡やめよ

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 国連安保理常任理事国でありながら、地域の軍事バランスを身勝手に変えようとする。その危うい軍拡をやめない限り、責任ある大国とはいえない。

 中国海軍で3隻目となる空母が「福建」と命名され、進水した。今後、試験航行や装備の取り付けを経て、2024年以降に就役するとみられている。

 空母3隻の態勢が完成すれば、「任務、訓練、整備」のローテーションが可能となるという。中国海軍の機動力が一段と強化されそうだ。

 さらに中国の発表によれば、艦載機の発進において、米国の最新鋭の原子力空母でしか使われていない新技術も導入されたという。事実ならば技術面でも米国を猛追していることを意味する。

 中国共産党指導部は、今世紀半ばまでに「世界一流の軍隊」を建設するとの目標を掲げている。米国の軍事力に追いつき、追い越そうとの対抗的な意図があるのだろう。

 中国の急速な軍拡は近年、周辺国に強い不安と疑念を与えてきた。「強国化」が多くの中国国民から支持されているとしても、対外的な摩擦と緊張は避けられず、インド太平洋地域の安全保障環境が不安定化する最大の要因となっている。

 ロシアのウクライナ侵略という暴挙などによって、大戦後の国際社会の安定を保った秩序は深刻な危機にさらされている。核保有国が武力に任せて他国の主権や領土を奪おうとするような横暴がまかり通るならば、多くの国の安全保障は根本から揺らいでしまう。

 中国はこれまで対外的に平和発展を唱えつつ、既存の秩序のなかで経済成長を続け、国力を蓄えてきた。その中国が心がけるべきは、秩序の維持に資する役割を果たすことだ。

 ところが共産党政権はロシアの侵略戦争を批判さえせず、自らも周辺国の懸念を無視するかのように軍拡を推し進めるのはどういうことか。

 中国軍をめぐっては最近、台湾東側の太平洋で空母「遼寧」が艦載機の発着訓練を頻繁に繰り返し、中ロの軍艦が日本列島を周回する航行もあった。

 南太平洋の島嶼(とうしょ)国に軍事協力を求めたり、カンボジアでの海軍基地拡張に関与したりする動きも伝えられる。いずれも十分な説明はなく、透明性が著しく欠如した動きだ。これでは国際社会で中国に対する警戒感が高まるのは当然だろう。

 不信の連鎖が生む軍拡競争に勝者はいない。緊張が高まり、いったん衝突が生じればその先にあるのは破滅しかない。中国指導部は自らの行為の危うさを強く認識すべきである。