(社説)参院選 家族と制度 「昭和」脱するために

[PR]

 人々の価値観、そして生き方は多様で、かつ、その傾向はますます強まっている。

 昨年の婚姻件数は約51万と、この50年で半減した。結婚しない人は各年代で増える傾向にあり、50歳時点で配偶者がいない人は男女とも約3割いる。

 結婚して子どもをもつ、男女にはそれぞれの役割があるといった、長く当然とされてきたことが揺らぎ、それを前提につくられている諸制度とのズレが広がる。今月公表の22年版男女共同参画白書は「もはや昭和ではない」として、政策の見直しの必要性を指摘している。

 これからの社会に見合うシステムを再構築する任を担える候補者はだれで、政党はどこか。そんな視点から参院選の論戦を見る目もあっていい。

 矛盾があらわになっている最大のものの一つが、夫婦に同姓を強いる民法の規定だ。改姓によって、様々な不都合やアイデンティティーの喪失を経験する人は少なくなく、その負担はもっぱら女性に集中する。

 法制審議会が選択的夫婦別姓制度の導入を答申して26年が過ぎた。しかし明治以来の家族像の維持を唱える自民の反対で、たなざらしの状態が続く。

 今回の公約でも、自民と日本維新の会は旧姓の使用範囲を広げることで対処しようという考えだ。だが二つの姓の使い分けには限界や矛盾があり、問題の解消にはなり得ない。

 公明は別姓導入に賛成の立場だが自民を動かす力はなく、立憲、共産、国民、れいわ、社民は、国会終盤に導入のための民法改正案を提出したが、審議すらされぬまま閉会した。

 市民団体「選択的夫婦別姓・全国陳情アクション」によると、これまでに全国で345自治体が選択的別姓の早期実現を求める意見書を可決している。国政の動きの鈍さは明らかだ。

 性的少数者の権利にも目を配りたい。札幌地裁は昨年、同性婚を認めない民法の規定を違憲としたが、先日、大阪地裁は議論が尽くされていない現段階では、憲法に反するとはいえないと判断した。その大阪地裁も、同性カップルが公認される利益の必要性を指摘し、社会状況の変化によっては立法の不備が違憲となる可能性に言及した。

 この問題に自民、国民は積極的に言及せず、公明は議論を深めるとし、立憲、維新、共産などは法整備を訴える。

 現に存在する制度にはそれまでの経緯や背景がある。だが、制度に合わせた生き方を強いる社会ではなく、ありのままの姿でいて個人として尊重される社会こそ、めざすものだ。そこに近づく選挙になるかは、一人ひとりの選択にかかっている。

連載社説

この連載の一覧を見る