(EYE モニターの目)今月のテーマ:物価高をめぐる報道

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 ■難しい記事も、さらに工夫を

 日本銀行の黒田東彦(はるひこ)総裁の「家計の値上げ許容度も高まってきている」という発言に違和感をおぼえた際、6月9日経済面「黒田発言の背景『強制貯蓄』とは」の解説はわかりやすかった。強制貯蓄が高所得世帯に偏っていることや、紹介されたのは調査結果の一部だったこともわかった。だが、その後の日銀や政府の対応についての記事はまだまだ難しい。丁寧に用語解説をしたり、身近な例や図を使ったりして、経済に詳しくない人も理解できるよう、さらに工夫してほしい。

 (鈴木比呂子 48歳 神奈川県)

 ■金融政策、転換なら影響は

 来春に任期を迎える日銀の黒田総裁のもと、2013年4月に始まった大規模金融緩和が10年目に入り、総括のタイミングが来ていると考える。16年からはマイナス金利政策も導入したが、果たして成功したと言えるのか。欧州中央銀行(ECB)は金利を上げ、量的緩和策を終えると報じられている。もし、黒田総裁の退任後に日銀もECBのように政策を転換した場合、日本経済にどのような影響が出ることが考えられるのだろうか。特集記事などで報じてほしい。

 (楠見啓人 19歳 和歌山県)

 ■各党の本気度、わかるように

 私の住む地域では自治体がコミュニティーバスを運営しているが、夕方で運行を終えてしまう。自家用車で通勤するしかないので、長引くガソリン高騰に頭を悩ませていたところ、最近、ガソリン以外のさまざまなモノの値段も上がってきて、家計は逼迫(ひっぱく)している。いま期待しているのは参院選だ。地方の実情を踏まえて物価高対策を真剣に考え、実行できる政党に票を投じたい。その参考にしたいので、各党の対策の「本気度」を見極められるような選挙報道をしてほしい。

 (河野裕美子 49歳 福岡県)

 ■現在のモノの値段は適正か

 6月9日経済面「フィリピン政府がバナナ値上げ要請/物価高や輸送費高騰で」の記事が気になった。ウクライナ情勢などから「値上げも我慢しなければ」というのが今の気持ちだが、現在のモノの値段は適正なのだろうか、と疑問がわいた。卵、もやし、納豆などスーパーの目玉商品のために生産者にしわ寄せが行き、それが低賃金や非正規雇用の創出につながってはいないだろうか。適正な価格と物価の関係、それが賃金、雇用、経済にどう影響していくかも知りたい。

 (鈴木百合子 69歳 岐阜県)

 <政策を多角的に、わかりやすく>

 日本銀行が手がける金融政策は、財政と並ぶ経済政策の柱で、暮らしに大きく影響します。ただ、政策は複雑で、発表では専門用語や経済データが並びます。取材チームでは日頃、専門家の見方を紹介するなどして、政策の狙いや影響を読み解いて伝えようと心がけています。

 黒田東彦総裁の「値上げ許容」発言についても、生活実感と異なる発言の根拠となった経済データがありました。すぐに黒田氏が背景にあげた「強制貯蓄」の分析や、根拠とした調査をした教授へのインタビューを試みました。同時に物価高の影響を受ける消費者の声を聞こうと、記者はスーパーマーケットに走りました。日銀の政策や情報発信をいかに読んで、わかりやすく伝えるかは常に課題で、取材の切り口や記事の表現を含め工夫を重ねます。大規模緩和の効果と副作用も継続して取材していきます。

 暮らしに直結する物価高は大きなテーマです。今の物価上昇は、長い間「デフレ状態」にあった日本経済の転換点と受け止めています。政府、日銀の対応、物価と賃金の関係、輸入品の値段を押し上げる円安の行方など、多角的に報じていきたいと考えています。(東京経済部次長・寺西和男)

 ◇東京本社発行の朝刊、夕刊の最終版をもとにしています

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