(社説)参院のあり方 「再考の府」機能強化を

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 参議院は何のためにあるのか。憲法衆議院との二院制を定めてから、繰り返されてきた問いである。衆院とは異なる独自性を発揮すべく、参院自身も議論を重ねてきたが、今なお、その違いははっきりしない。新しい議員が選ばれたことを踏まえ、できることから改革の実をあげていかねばならない。

 衆院で可決された予算案や法案を再度審議する参院に求められるのは、何といっても「再考の府」としての機能だ。衆院のように解散がなく、6年の任期が保証されている参院議員には、より長期的な視野で政策を吟味する役割が期待される。衆院とは異なる選挙制度によって、より多様な民意を反映させることにもつながる。

 ただ、現実は衆院の結果を追認することがほとんど。与党が事前審査を行い、衆参一体で党議拘束をかけてしまうためで、参院は「衆院のカーボンコピー」と揶揄(やゆ)される有り様だ。

 一方、参院で野党が多数派を占める「ねじれ国会」になると、「良識の府」どころか「政局の府」といわれる政争の舞台になってしまう。衆参で多数派が異なった場合、どうやって合意形成を図り、必要な政策の遂行に支障がないようにするか。そのルールづくりは、「平時」の今こそ整えておくべきだ。

 「平成の政治改革」によって、官邸機能が強化され、首相への権力の集中が進んだ。立法府と行政府の「抑制と均衡」を取り戻すには、国会の行政監視機能を強める必要がある。

 参院はこれまでも決算審査の充実に取り組んできた。それをさらに発展させ、政府の重要な政策決定の検証を、柱のひとつに位置づけてはどうか。例えば、今なら、政府のこれまでの新型コロナ対応を第三者の立場から総括してもらいたい。

 参院独自の機関として、3年単位で活動する各種の調査会がある。参考人の意見聴取や公聴会などを踏まえた政策提言を行い、過去には高齢社会対策基本法の成立につなげたこともある。さらなる活性化が必要だ。

 待ったなしの課題もある。一票の格差の是正だ。先日の参院選は、最大3・03倍の格差があり、弁護士グループが選挙の無効を求め、全国14の高裁・高裁支部に一斉提訴をした。

 各会派の代表によって昨年5月に設置された参院改革協議会は本来、この問題に最優先で取り組まねばならなかったが、選挙前の6月に公表した報告書は、広範な課題の論点整理にとどまった。肝心の選挙制度改革も、さまざまな意見が列挙されただけである。衆院との役割分担を踏まえた抜本改革に向け、早急に議論を再開すべきだ。