(社説)節電ポイント 実効性ある仕組みに

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 電力不足への対策として、政府が「節電ポイント」への支援に動いている。ねらいは理解できるが、多額の予算を投じる割に、実効性に疑問が多い。目先のアピールを優先して拙速な仕組みにならないよう、政府と電力業界は熟慮すべきだ。

 次の冬の電力需給は、この夏より厳しくなる見込みだ。逼迫(ひっぱく)時に節電要請を繰り返せば、「なれ」が広がり、効果が弱まりかねない。供給力を増やすとともに、消費者が自発的に無理なく節電できる手法を工夫することは必要だ。

 その一つが、節電すると料金値引きやポイントなどの報酬を得られる仕組みだ。電力小売業者の一部はこうしたプログラムを採り入れているが、まだあまり普及していない。

 そこで政府が、補助することを決めた。参加登録した家庭に2千円分、企業などには20万円分を支給し、呼び水にするという。予算は1800億円にのぼる。参院選直前に物価高対策の一環として打ち出した。

 だが、登録した人が、実際に節電するとは限らない。その段階で多額の補助をしても、効果の薄い「ばらまき」になる懸念がある。

 本来、肝心なのは、実際の節電と値引きやポイントをどう結びつけるかだ。利用者が報酬に納得して電力消費を抑える仕組みにできなければ、登録しても実際には使われずに終わる。

 現行の主な節電プログラムは、節電1キロワット時あたりの報酬が5~10円程度の水準が多い。需給逼迫時に節電してもらえれば、事業者は高い値段の電気を調達せずに済み、負担が減る。その利点からみても、この報酬額は低すぎるといった指摘も専門家から出ている。電力業界は適正な報酬水準を伴う仕組みを考えるべきだ。

 一方政府も、報酬部分にも上乗せ補助をするという。条件や金額はまだ示されていない。一定の補助はあってもいいが、価格や市場の働きを活用するというこの手法の趣旨に照らせば、政府の役割は側面支援が基本だろう。補助頼みでは、持続的な仕組みにならない。

 さらに、プログラムに参加するにあたり、スマホなどに不慣れな人も使いやすい仕組みにできるか、個々の消費者ごとの節電の達成度を公平に測れるか、といった課題もある。

 このように様々な論点があるにもかかわらず、政府は国会審議を経ずに予備費からの支出で補助を実行しようとしている。冬への備えなら、補正予算案を組んで議論する時間は十分あったはずだ。財政民主主義の観点からもあまりに乱暴な進め方であり、看過できない。

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