(社説)核による脅し 非保有国を守る保証を

[PR]

 核兵器を持つ国が、持たない国を核で脅したり、攻撃したりする。こんな理不尽が許されてはならない。

 いまニューヨークの国連本部で、核不拡散条約NPT)の10回目の再検討会議が開かれている。今回こそ、非保有国を守る議論を深めるときだ。

 NPTは米ロ英仏中の5カ国以外に核兵器の保有を禁じている。ならば、核を持たないことを受け入れた国々が、核の脅威にさらされない保証を求めるのは当然だ。それなくしては、条約の不平等性は解消されず、信頼性が損なわれる。

 「消極的安全保証」とよばれるこの考えは、1960年代に条約をつくる際の交渉過程でも取り上げられた。非保有国側は盛り込むよう求めたが、核を持つ国は応じなかった。

 それでも、理念自体は核保有国の側も理解しているはずだ。冷戦下で過熱する軍拡競争を背景に、78年に開かれた第1回国連軍縮特別総会で、5カ国は一方的にこの保証を宣言した。

 95年のNPT再検討会議でも再確認し、2000年の会議では最終合意文書で重要性には触れた。ただ、半世紀以上にわたり非保有国が求めてきた、条約に明記するなどの方法で法的拘束力を持たせることには後ろ向きなままだ。

 単なる「口約束」では、核を持つ国の思惑次第で、いつ破られるか分からない。非保有国の不安が現実となったのが、今年のロシアによるウクライナ侵攻である。

 苦戦を強いられたプーチン大統領は、核抑止部隊に特別警戒態勢をとるよう指示するなど、「核の恫喝(どうかつ)」を行った。ウクライナは独立後、旧ソ連時代に配備された核をすべてロシアに移し、非保有国としてNPTに加盟している。

 再検討会議で、ウクライナの代表はこう演説した。「NPT加盟国の95%以上が核兵器を持たないことを考えれば、非保有国に消極的安全保証を有効な形で与えることは、最優先事項とみなされるべきだ」

 条約に加わるすべての国、とりわけ核保有国はこの訴えに耳を傾け、真正面から取り上げなくてはならない。

 NPTはすでに危機に直面している。保有国に義務づけられている核軍縮が進まないことに、非保有国が不信を高めているからだ。前回15年の再検討会議は合意のないまま決裂した。その後、非保有国は核兵器禁止条約を実現させたが、保有国は背を向けている。

 双方の亀裂をこれ以上深めてはなるまい。核を持つ特権を独占する国には、確かな保証への歩み寄りが求められる。