(社説)臨時国会要求 早期召集で責任果たせ

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 次々と明るみに出る世界平和統一家庭連合(旧統一教会)と政治の関係、世論を二分する安倍元首相の「国葬」、国民のいのちと暮らしに直結する物価高や新型コロナの第7波……。

 政府が説明責任を果たし、国民の前で議論すべき喫緊の課題が山積している。岸田首相はコロナ感染から回復し次第、速やかに臨時国会を開くべきだ。

 立憲民主、共産、国民民主、れいわ新選組など、野党各党が先週、臨時国会の召集を内閣に要求した。衆参いずれかの総議員の4分の1以上の求めがあれば、内閣は召集を決定しなければならないと定めた、憲法53条に基づく。

 少数派の意思を尊重し、立法府による行政監視機能を全うさせることが、この規定の目的である。岸田政権は参院選の結果を受けて、今月初めに召集した臨時国会を、野党が十分な会期を求めたにもかかわらず、わずか3日で閉じた。憲法の要請を軽んじ、これ以上論戦を回避し続けることは許されない。

 憲法53条には、期限の定めがないため、安倍・菅両政権下で、要求のたなざらしが相次いだ。このうち、安倍内閣が17年6月に出された求めを放置し、98日後にようやく召集はしたが、冒頭で衆院を解散して実質審議が行われなかった事例に対しては、野党議員らが違憲だとして損害賠償などを求める訴訟を提起している。

 これまでの地裁、高裁の各判決は、憲法判断には踏み込まないまま請求を退けているが、那覇、岡山両地裁の判決には、重く受け止めるべき指摘があった。内閣には、合理的な期間内に要求に応える「法的義務」があり、状況次第では、違憲と判断される可能性があるというものだ。福岡高裁那覇支部も、こうした義務の履行は「極めて重要な憲法上の要請」とした。

 論戦を避け、国会を軽視する姿勢は、安倍・菅両政権に共通した特質のひとつであり、憲法53条に基づく要求への対応は、その象徴でもあった。

 首相は1年前、自民党総裁選に名乗りをあげた時、「政治の根幹である国民の信頼が大きく崩れ、我が国の民主主義が危機に陥っている」との認識を示し、「丁寧で寛容な政治」「聞く力」を掲げ続けている。その初志を忘れていないというなら、前任者らとの違いを、ここで明確に示すべきだ。

 報道各社の世論調査では、「心機一転」を狙った内閣改造の後も、支持率は上向かず、政権に対する国民の視線は確実に厳しさを増している。だからこそ、首相が先頭にたち、政府の施策を説明し、国民の疑念や懸念に答えねばならない。

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    常見陽平
    (千葉商科大学准教授・働き方評論家)
    2022年8月23日7時25分 投稿
    【提案】

    ■野党と朝日新聞は臨時国会の戦略・戦術・戦闘を熟考せよ!  「臨時国会を開け」野党と朝日新聞の主張はいちいち正しい。ただ、これを要求するだけでは相変わらずの野党仕草、朝日新聞仕草になるだけだ。断固として臨時国会を勝ち取るにはどうするか、そ