人生100年、楽しく生きるには 朝日地球会議2022
気候変動など地球規模の課題を皆様とともに考える国際シンポジウム「朝日地球会議2022」(10月16~19日オンライン配信)のプログラムの中から、長寿時代の生き方や、ますます重要になる介護のあり方を話し合うセッションを紹介します。3年ぶりに聴衆を募集して開くセッションもご案内します。
■介護は大変?成長の機会かも お笑い芸人・安藤なつさん 10月16日17時40分~
お笑いコンビ「メイプル超合金」の安藤なつさん(41)は、2015年のM―1グランプリ決勝進出を機にブレークした人気芸人だ。バラエティーを中心に、女優としても活躍する。実は、介護職経験約20年の経歴の持ち主だ。
介護との出会いは、中学生のとき。おじが経営していた障害者施設でボランティアを始めた。20歳のころ、ホームヘルパー2級(現介護職員初任者研修)を取得。3年間、深夜の在宅介護サービスをしていた。一晩で15~20軒回り、安否確認やおむつ交換をした。
その後、おじの施設に戻り、働いた。お笑いと介護の「二足のわらじ」。ブレークのきっかけになった15年のM―1決勝の日も、前日朝まで夜勤だったという。
「仕事は楽しかった。障害者の方と、一緒に成長していく感じがよかった」と話す。
認知症で着替えをしてくれない利用者がいた。通ううちに、あるとき着替えてくれた。「心を開いてくれたと感じた。うれしかった」
介護とお笑いは、全く違うもののようで共通点がある。「相手のことを『察する』『くみ取る』というところ」だという。
ブレークして以降は、介護の仕事はできていないが、介護職員を応援する厚生労働省補助事業「GO!GO!KAI―GOプロジェクト」の応援団副団長を務める。また、著書『知っトク介護 弱った親と自分を守る お金とおトクなサービス超入門』(共著)も出している。
安藤さんは「介護が大変だという前に、一度でいいから体験してほしい」と話している。
(佐藤陽)
■学び働き遊ぶ、「私」が選ぶ未来 ロンドン・ビジネススクール経営学教授、リンダ・グラットンさん 10月19日18時40分~
ロンドン・ビジネススクールで長年、人材論や組織行動論を担当するリンダ・グラットン教授。テクノロジーの進化に伴う働き方の変化や、「人生100年時代」の生き方などをテーマに、講演や執筆活動などを行っている。ダボス会議を運営する世界経済フォーラムで働き方などに関する評議会の共同議長を務めるほか、2017年には日本政府の「人生100年時代構想会議」のメンバーにも選ばれた。
同僚のアンドリュー・スコット氏との共著『LIFE SHIFT』や、日本では10月に発売の『リデザイン・ワーク 新しい働き方』などの著書は15カ国語に翻訳され、世界で100万部以上発行されている。
世界で長寿化が進む中、人口の約3割が65歳以上の日本は高齢社会のトップランナーだ。既に65~69歳の半数超は働いており、学業、勤労、退職後という年齢による区分を元にした3ステージのモデルから、年齢にとらわれず学び、働き、休み、遊ぶ、マルチステージの人生モデルへと変化し始めている。
コロナ禍で、在宅やリモート勤務など働き方の柔軟性、自律性が高まった結果、仕事観や人生観も変わったという人は少なくないかもしれない。
デジタル技術の恩恵を生かしながら、より主体的にこの先の人生を歩んでいくために、個人や企業、社会はどのような意識で、何に取り組むべきなのか。
グラットン教授は登壇に向け、「100年時代を心豊かに、前向きに過ごしていくためのヒントを、皆さんと一緒に考えるセッションにしたい」と抱負を述べた。(前田育穂)
■リアル会場、ともに考え語り合う 10月9・10日13時~ 公開収録
新型コロナウイルス禍で中断していたリアル会場での開催が3年ぶりに一部のセッションで復活します。10月9~10日に東京の有楽町朝日ホールで読者の皆様をお招きし、計4セッションを公開収録します。
9日は2部構成の「世界の知が読み解くコロナ後の時代」。欧米を代表する「知の巨人」のインタビュー動画を見ながら、日本の識者が議論を深めます。
第1部はマルクス・ガブリエル、エマニュエル・トッド両氏の動画を受けて、民主主義や国際社会の構造はどうなるのかをテーマに、一橋大大学院教授の市原麻衣子氏、評論家の與那覇潤氏が語り合います。
続く第2部は、ジャック・アタリ、ブランコ・ミラノビッチ両氏の動画を受けて、格差の問題への対処や資本主義の命運について、立命館大大学院教授の小川さやかさん、批評家の東浩紀さんらが論じます。
10日の「AIが広げる社会参加」は、事故で失明しながらも世界初の実用的な音声ブラウザーなど数々の研究・発明をしてきた日本科学未来館館長でIBMフェローの浅川智恵子さんらが語り合います。AI(人工知能)とセンサーなどで視覚障害者の道案内をする「AIスーツケース」の開発に取り組む浅川さんはどんな未来を思い描いているのでしょうか。
「ポスト・コロナを生きるためのグローバルヘルス」では、世界中の人々の健康を守るためにできることは何かをテーマに、感染症対策に取り組むビル&メリンダ・ゲイツ財団の柏倉美保子さんや国際保健の専門家、これからの将来を担う世代とともに考えます。
■10月16日(日)
◇12:30~12:40
主催者あいさつ
中村史郎(朝日新聞社社長)
◇12:40~13:05
来賓あいさつ
メリッサ・フレミング(国連事務次長)
野田聖子(前内閣府特命担当大臣〈地方創生・少子化対策・男女共同参画〉)
◇13:10~13:30
持続可能な都市・東京の実現に向けて
小池百合子(東京都知事)
◇13:30~15:30
世界の知が読み解くコロナ後の時代【第1部】
〈パネリスト〉與那覇潤(評論家)、市原麻衣子(一橋大大学院教授)、吉岡桂子(本社編集委員)▽コーディネーター・長野智子(キャスター)
◇15:35~17:35
世界の知が読み解くコロナ後の時代【第2部】
〈パネリスト〉小川さやか(立命館大大学院教授)、東浩紀(批評家・作家)、青山直篤(本社国際報道部次長)▽コーディネーター・長野智子(キャスター)
◇17:40~18:25
私らしい暮らしのために 新しい介護へ
〈パネリスト〉メイプル超合金・安藤なつ(お笑い芸人)、堀田聰子(慶応大大学院教授)▽コーディネーター・佐藤陽(本社文化部記者)
◇18:30~19:30
「幸せ」に生きるための教育とは?
〈パネリスト〉落合陽一(筑波大准教授)、中室牧子(慶応大教授)▽コーディネーター・泉谷由梨子(ハフポスト日本版編集長)
◇19:35~20:35
どうなってるの ロシアのいま
〈パネリスト〉小泉悠(安全保障研究者)、あしや(ロシア人ユーチューバー)、ユージーン・マグダリット(ジャーナリスト)、アリーナ・ディドコフスカヤ(ジャーナリスト)▽コーディネーター・西村大輔(本社GLOBE編集長)
■10月17日(月)
◇13:30~15:00
ポスト・コロナを生きるためのグローバルヘルス
〈パネリスト〉辻愛沙子(arca代表取締役)、茶山美鈴(早稲田大3年生)、坂元晴香(東京女子医大准教授)▽コーディネーター・柏倉美保子(ビル&メリンダ・ゲイツ財団日本常駐代表)
◇15:05~16:05
「幸せ」に生きるための教育とは?(16日の再配信)
◇16:10~17:10
どうなってるの ロシアのいま(16日の再配信)
◇17:15~18:00
髪の毛1本が、あなたを、そして人類を救うかも
〈パネリスト〉麻木久仁子(タレント)、有地正太(毛髪診断コンソーシアム元幹事役)▽コーディネーター・中島隆(本社編集委員)
◇18:00~18:15
毛髪の可能性を追求した価値共創型SDGs
〈講師〉新田香子(アデランス・グループCSR広報室長)
◇18:20~19:20
世界の知が読み解くコロナ後の時代~ジャック・アタリさん
ジャック・アタリ(経済学者・思想家)▽聞き手・青山直篤(本社国際報道部次長)
◇19:25~20:25
子どもの貧困――100年後もあっていいの?
ブレイディみかこ(在英コラムニスト)▽聞き手・清川卓史(本社編集委員)
■10月18日(火)
◇13:30~14:30
気候危機と戦争で揺れる世界【第1部】私たちの食料はどうなるのか
〈パネリスト〉長谷川利拡(農研機構農業環境研究部門気候変動適応策研究領域長)、森島千佳(味の素サステナビリティ担当執行役)、北林太郎(農林中央金庫常務執行役員)▽コーディネーター・高村ゆかり(東京大教授)、石井徹(本社編集委員)
◇14:30~14:40
特別共催者あいさつ
城山英明(東京大学未来ビジョン研究センター長)
◇14:45~15:45
気候危機と戦争で揺れる世界【第2部】エネルギーと脱炭素の未来を描く
〈パネリスト〉宮下裕(三菱UFJフィナンシャル・グループ代表執行役常務)、大塚友美(トヨタ自動車執行役員)、志賀啓子(ソニーグループ・サステナビリティ推進部環境グループゼネラルマネジャー)▽コーディネーター・高村ゆかり(東京大教授)、石井徹(本社編集委員)
◇15:45~16:00
“天然水の森”100年先を見据えた水源涵養(かんよう)
〈講師〉風間茂明(サントリーホールディングス執行役員)
◇16:05~17:05
子どもの貧困――100年後もあっていいの?(17日の再配信)
◇17:10~17:55
視点を変えよう 地域の未来へ
〈パネリスト〉永岡里菜(おてつたび代表取締役)、市来広一郎(machimori代表取締役)、加藤達也(JT渉外企画室次長代理)▽コーディネーター・大月規義(本社編集委員)
◇18:00~19:00
世界の知が読み解くコロナ後の時代~ブランコ・ミラノビッチさん
ブランコ・ミラノビッチ(経済学者)▽聞き手・青山直篤(本社国際報道部次長)
◇19:05~19:10
特別共催者あいさつ
佐藤百合(国際交流基金理事)
◇19:10~20:10
テクノロジーと社会―未来をどうつくる
石黒浩(大阪大教授)、ユヴァル・ノア・ハラリ(歴史学者・哲学者)▽コーディネーター・井田香奈子(本社論説委員)
■10月19日(水)
◇13:30~14:30
AIが広げる社会参加~ワクワクの技術で「誰一人取り残さない」
〈パネリスト〉浅川智恵子(日本科学未来館館長・IBMフェロー)ほか▽コーディネーター・瀬川茂子(本社科学みらい部記者)
◇14:35~15:35
世界の知が読み解くコロナ後の時代~ブランコ・ミラノビッチさん(18日の再配信)
◇15:40~16:40
テクノロジーと社会―未来をどうつくる(18日の再配信)
◇16:45~17:30
今日からできるくらしチェンジ 身近にできる気候変動対策
〈パネリスト〉島村琢哉(AGC取締役兼会長/旭硝子財団理事長)、井上咲楽(タレント)▽コーディネーター・戸田政考(本社政治部記者)
◇17:35~18:35
世界の知が読み解くコロナ後の時代~エマニュエル・トッドさん
エマニュエル・トッド(人類学者・歴史学者)▽聞き手・吉岡桂子(本社編集委員)
◇18:40~19:40
「今さら」を「今こそ」に リンダ・グラットン教授に聞く、人生100年時代の歩き方
リンダ・グラットン(ロンドン・ビジネススクール経営学教授)▽聞き手・前田育穂(本社文化部次長)
◇19:45~20:45
世界の知が読み解くコロナ後の時代~マルクス・ガブリエルさん
マルクス・ガブリエル(ボン大哲学正教授)▽聞き手・宮地ゆう(本社GLOBE副編集長)
<主催> 朝日新聞社
<共催> テレビ朝日
<特別協賛> 旭硝子財団、アデランス、サントリーホールディングス、JT
<特別協力> 帝国ホテル、テレビ朝日映像
<協力> グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン、日本マーケティング協会、朝日学生新聞社、CNETJapan、ハフポスト日本版、森林文化協会
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