(社説)教団被害対策 政権に実行力はあるか

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 世界平和統一家庭連合(旧統一教会)への調査を徹底できるか。霊感商法や高額献金をどう防ぎ、救済を実現するか。岸田政権はどこまで本気か、問われるのは、ここからの実行力だ。

 消費者庁の有識者検討会が、きのう、教団への対応や関係法令を見直す提言を政府に提出した。注目されていたのは、教団への解散命令請求について、どこまで踏み込むかだった。

 解散命令は、専ら世俗的な側面を対象にしているが、宗教法人格を剥奪(はくだつ)するという重い結果をもたらす。信教の自由を保障する観点からは慎重に判断すべきものだ。ただ、提言は、教団の「組織的な不法行為」を断じた民事裁判例がすでに複数あることなどから、解散命令を出せる要件である「法令違反」や「著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為」をした宗教法人にあたる疑いがある、と指摘した。

 そのうえで、解散請求を視野に入れ、所轄庁が教団に対する調査(報告徴収・質問)をする必要があるとした。事実関係を踏まえた適切な判断だ。これに合わせ、岸田首相も調査に向けて「手続きを進める」と国会で述べた。年内に調査に着手するという。専門家の意見も聞いて精査を重ねつつ、いたずらに時間をかけることなく密度の濃い作業をしてもらいたい。

 これまで文化庁は、教団の役員らが刑事事件で有罪となっていないことを挙げ、請求には消極的な姿勢だった。しかし、解散命令の要件の一つである「法令違反」について、最高裁の判断では刑法に限るとの解釈は示されてはいない。情報と証拠の収集を進め、納得のいく調査結果を示すことが求められる。

 検討会の議論を通じ、不備が浮かんだのは消費者契約法だ。

 霊感商法の契約を取り消せる権利は4年前の法改正で加わったが、契約しなければ重大な不利益が生じると告げられた場合に限られ、使い勝手が悪い。検討会はこの対象を広げるよう進言した。権利を使える期限の延長とあわせて見直すべきだ。

 教団をめぐる金銭トラブルは献金が主流となるなか、信者の子どもら親族が工面を強いられたり精神的に追い込まれたりしている。検討会は、正体隠しの伝道など本人の自由な意思決定の前提を奪うような手法への対応を念頭に、寄付を無効にすることなども含めて法制化への検討を求めた。早い段階で被害を封じる対策が待ち望まれる。

 法整備がなされても、いま苦しむ人がただちに救済されるわけではない。政府は相談窓口を恒久化させ、支援に全力を注がねばならない。それが長年の放置に対する責任だ。

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