(後藤正文の朝からロック)ミサイルと子ども食堂
「子ども食堂」の数が昨年より1317カ所増えたというニュースを読んだ。認定NPO法人「全国こども食堂支援センター・むすびえ」の調査では、全国で7331カ所になったのだという。
「むすびえ」のウェブを見ると、概算ではあるが、5千円あれば1回の「子ども食堂」を開催することができ、千円で5人分の食事が賄えるのだという。また、こうした取り組みは民間の自発的なもので、運営支援などの公的な仕組みは整備されていないとのことだった。
同じ日に膨大な防衛費を賄うための増税のニュースを様々なメディアで目にした。復興特別所得税の一部を防衛費に転用するような新税制にも驚いたが、アメリカ製のミサイルや戦闘機を購入するために1兆円の増税がなされるということをすっきりとのみ込めなかった。防衛費と「子ども食堂」をはじめとする社会支援にかかる費用を単純に比較するわけにはいかないが、トマホークミサイル1発の値段が約3億円だという報道にはため息が出る。
戦争に巻き込まれない国であることは、国民的な願いだろう。しかし、それだけが、私たちがこの国で安心して暮らせる理由にはならない。ミサイルと戦闘機で国土を守っているうちに子どもたちが減り、困窮者が増え、人々が未来に対する明るいビジョンを失うのなら本末転倒だと思う。
(ミュージシャン)
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