精神医学と宗教、魂に迫る文学 作家・加賀乙彦さんを悼む スラブ文学者・沼野充義

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 作家の加賀乙彦氏が一月十二日に九十三歳で亡くなった。長い人生を精力的に生き、多くを書き、多くを成し遂げた人だった。この大きな人間の死とともに一つの時代が終わったという喪失感がひしひしと迫ってくる。まさに巨星落つ、である。

 加賀氏は一九四三年に名古屋の陸軍幼年学校に入り、軍国少年としてのエリート教…

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