(社説)細田氏と教団 公の場での説明不可欠

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 「言論の府」の長がなぜ、堂々と公の場で語ることができないのか。非公開の懇談は、国民が納得できる、説明責任の果たし方とは言えない。細田博之衆院議長には、改めて議院運営委員会での質疑や記者会見に臨むよう強く求める。

 昨年7月の安倍元首相の銃撃事件の後、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)との接点がしばしば指摘されてきた細田氏がきのう、与野党の代表者との懇談という形式で説明に応じた。

 昨年9月に紙1枚の簡単なコメントで済まそうとして批判を浴びると、議運委員長らに補充説明をしたが、公の場での説明は拒んできた。このままでは長丁場の通常国会を乗り切れないと判断したのだろうが、いわば「密室」でのやりとりで疑念が解消されるはずがない。

 細田氏はこれまで、教団の関係団体の会合で8回、あいさつをしたことなどを認めている。きのうは新たな接点の報告はなく、教団側から要望や依頼は受けていないと語った。19年10月の会合で「安倍総理に早速報告したい」と述べたことについては、「リップサービス」であり、実際の報告はしていないと説明したという。

 驚くのは、教団が深刻な社会的問題を抱える団体であるということを、安倍氏の事件の後、初めて気づいたと述べたということだ。霊感商法は過去のことで、世界の平和とか家庭の幸せとか、そういう話しか聞いたことがないという。政治家として、あまりに認識がお粗末ではないか。

 細田氏は14~21年、自民党の中でも特に教団との関係が深いとされる安倍派の会長を務めた。自身は教団票の差配は一切していないと否定したというが、自民党と教団をつなぐ要と目される安倍氏の果たした役割について、知りうる限りの説明を尽くすべきだ。

 記者会見などに応じない理由については、自民党時代のことを議長の立場で話すのはふさわしくないと述べたという。説明責任から逃げ回るその姿勢こそが、公正であるべき議長に対する信頼を損なっていることがわからないのだろうか。

 自民党側は「丁寧な説明があった」として、幕引きを図る考えだが、無責任極まる。教団との関係をめぐっては、最近も、党所属の鶴保庸介参院議員が昨年6月の選挙期間中、教団施設で演説していたことが、「FRIDAYデジタル」の報道で明らかになった。自己申告による自民党の「点検」の不十分さが改めて浮き彫りになった形だ。教団との決別を誓うなら、過去のつながりの徹底解明から逃げることは許されない。

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