(論壇時評)「子育て罰」の国 家族観の縛り、まず解かねば 東京大学大学院教授・林香里
「子育て罰」。社会福祉学者桜井啓太がchild penaltyの訳語として使い始めた言葉だ。桜井は教育学者末冨芳(かおり)との共著〈1〉において、子育てをすると親子とも制裁を受けるかのような苦しさを味わうが、それが日本において顕著であると警鐘を鳴らす。若い世代は「子育て罰」を鋭く察知して、子どもを…
- 【視点】
2年前、初回の時評は「朝日新聞の論壇時評六十余年の歴史で、私は初の女性筆者だという」という一文から始まった。他人の論考の時評という枠内で「自分の言葉をどう繰り出せばよいのか」で悩むのはこの欄の執筆者に共通だろうが、林氏の重責感はとりわけ大き