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 【若松真平】修復を繰り返しながら、開業当時の姿をとどめる外川駅。銚子電鉄で「最も絵になる」といわれる木造駅舎だ。

 銚子駅からみて終点であるこの駅で下車し、家々を縫うようにして細い坂道を下ること10分。夕日に照らされた太平洋が目の前に広がった。手前の外川漁港には、キンメダイ漁に使われる船が並んでいる。

 港に面した、こぢんまりとした2階建ての建物に「銚子海洋研究所」と看板が掲げてある。ここが、銚子で唯一のイルカ・クジラウオッチングを体験させてくれる会社だ。

 所長は、かつて水族館でイルカの飼育担当をしていたこともある宮内幸雄さん(56)。震災当日、自前で買った客船「フリッパー号」で沖へ向かった。船を津波から守るためだ。23時間にわたって暗く冷たい海を漂った経験について、事務所で話を聞いた。

     ◇

 今から20年ほど前。地元の水族館で働いていたころ、銚子沖にイルカがいると漁師から聞いた。小さいころから住んでいて、そんな話は聞いたことない。ウソだろうと思いつつ、漁師の舟に乗って沖へ出た。「目の前の百八十度に目いっぱいイルカが群れてた。1千頭はいたね」

 水族館職員として海洋調査を始めた。5年ほどたったころ、水族館側が調査をやめるというので、独立して研究所を設立。漁師が暇になる5~8月に漁船を借りて、イルカウオッチングを始めた。

 年間通して船を出さなければ採算がとれない。2002年、4千万円借金してフリッパー号を購入した。知名度は徐々に高まり、09年に借金を完済。事務所を移転して自然体験学校を始める計画を進めていた矢先、震災が起きた。

     ◇

 地震が起きた2年前の3月11日、宮内さんは何をしていたのか?

 「海の状態はよかったけど、客の予約は入ってなかった。事務所で漁師と話していたとき、突然建物が揺れたんだ」

 外を見ると電線が大きくたわみ、道路は波打っている。漁師から聞いていた「津波が来る前に沖に船を出す」という鉄則が思い浮かんだ。フリッパー号の鍵を手にマリーナへ。エンジンの鍵は持ったものの、キャビンの鍵を忘れた。

 船を7~8キロ沖まで進めたところで、波長の長い海面の盛り上がりを感じた。津波に乗り上げた。岸の方を見ると景勝地の屏風ケ浦が隠れるくらい、横一線に白波が見えた。

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