今回は、4回に分けていわゆる「ぎっくり腰」についてのお話をさせていただきます。初回は「ぎっくり腰とは何か」について説明していきます。
ぎっくり腰とは、急に発生した強い腰痛という症状を表す総称であり、正式病名は「急性腰痛」といいます。一時的には歩くのが困難なほど強い腰痛がでますが、1~2週間以内に自然と良くなっていくことがほとんどです。全体の70~80%と多くの人が腰痛を経験するといわれており、患者さんが医療機関を受診する原因としては最も多い症状ですが、男女差はあまりないものと考えられています。
仕事などでかがんだ時や腰をひねった時、重い物を持ち上げた時など、ちょっとした日常生活の動作がきっかけで発症することが多いですが、時には朝起きたら腰が痛いなど明らかなきっかけがない場合もあります。一般的には肉体労働で腰に負担をかけている方におこりやすいと言えますが、長時間座ったままの方でも起こります。座っている姿勢というのは意外と腰に負担がかかっていることはあまり知られていないかもしれません。
腰の加齢現象によって発症頻度が増えますので、中高年の方に多く発生しますが、時に10代などの若い方もなることがあります。
原因は急に発生した一時的な腰の炎症でありますが、人の腰は複雑な骨と骨のつなぎ目からなり、骨以外にもクッションとなる軟骨や筋肉にも炎症が起こることがありますので、どこの部位に炎症が起こったかを完全に特定することは難しいのが実際です。炎症は一時的なので、X線検査はもちろんのことMRIやCTなどの精密検査を行っても異常がでてきません。これが椎間板(ついかんばん)ヘルニアや骨折などとの大きな違いになります。
次回は、特別な治療が必要な病気との見分け方など「ぎっくり腰の診断について」お話しします。
(渡辺慶・新潟大学医歯学総合病院講師〈整形外科〉)
<アピタル:医の手帳・ぎっくり腰>
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