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 人はどんな気持ちで健康食品を食べる(飲む?)のだろう? そんなことを考えています。ただいま、健康食品に関する連載記事を準備中なもので。

 取材で先日、高橋久仁子・群馬大名誉教授にお話をうかがいました。健康食品の問題に詳しく、「フードファディズム」という考え方を日本に紹介したことでも知られています。フードファディズムとは、食べ物や栄養が健康や病気に与える影響を誇大に信奉することを意味します。

 「健康食品を使う人は、どちらかと言えば健康によいことをする人たち」と高橋教授。調査結果を教えてもらいました。東日本の成人約1100人を対象に行った調査です。(「『健康食品』利用者の保健行動」日本食品安全協会会報第7巻第3号2012年)。

 回答者を男女別に、トクホも含め健康食品を使った経験がある人(A群)、健康食品を使ったことはなく健康情報への関心が高い人(B群)、健康食品を使ったことがなく健康情報への関心も低い人(C群)の3グループに分けて、食生活や運動、休養など健康に関わる行動の実践状況を比較しました。「喫煙しない」「3度の食事をきちんととる」「体力作り」といった8項目です。

 男女とも、平均を上回る項目が最も多く、健康的な行動をしていたのは、健康食品を使わず健康情報に関心の深いB群。次いで健康食品利用のA群でした。女性のA群はB群に近く、男性のA群はB群とC群の間ぐらいの実践率でした。

 健康食品を利用する女性たちは利用しつつ、同時に健康を維持する行動にも気を配っているようですが、男性たちは健康食品を利用するだけで、それほど行動には気をつけていないようです。

 「健康食品類を利用する人々は基本的に『健康に良いこと』をしようと考え、ある程度は実践しており、健康食品類の利用も彼らにとっては保健行動のひとつなのかもしれない。しかし、同時に利用していることが、本来の保健行動の実践をいくぶん軽視させているとも考えられる」と高橋教授は論じています。

 国立健康・栄養研究所の梅垣敬三・情報センター長が「健康食品だけで健康になれるという楽で甘い道はない。健康食品の基礎知識を知った上で、生活習慣改善の動機付けとして利用するのが上手な方法」と話していたことを連想しました。健康食品を使っているからと安心したらダメ、ということだと思います。

 いつか健康に支障を来すのではないかと心配なのは、健康情報に関心が低く、健康食品も使わないC群の人たちです。健康を維持する行動のほとんどの項目で実践率が低く、無頓着といってもいい状況。男性は半数以上(505人中259人)がこのC群でした。これだから、男の人は・・・いやいや、以下自粛。今この文章を読んでいるあなたは、きっと、健康に関心があるからここに来てくださっているのでしょうから、C群には入らないでしょう。

 情報を知りたいと思っていない人ほど、その情報を真に必要とする人たち。より深い情報をお届けすることと共に、「興味ない」という人に振り向いてもらえるような切り口の記事も重要、と改めて思ったのでした。

<アピタル:食のおしゃべり・トピック>

http://www.asahi.com/apital/healthguide/eat/(大村美香)

大村美香

大村美香(おおむら・みか) 朝日新聞記者

1991年4月朝日新聞社に入り、盛岡、千葉総局を経て96年4月に東京本社学芸部(家庭面担当、現在の生活面にあたる)。組織変更で所属部の名称がその後何回か変わるが、主に食の分野を取材。10年4月から16年4月まで編集委員(食・農担当)。共著に「あした何を食べますか?」(03年・朝日新聞社刊)

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