移転先はどこに――。静岡市清水区の基幹病院の一つ、桜ケ丘病院(同区桜が丘町)の移転問題がにわかに騒がしくなってきた。以前運営していた社会保険庁の解体などで移転先の用地は事実上、塩漬けに。だが今春、現在運営する独立行政法人が移転先変更を視野に入れた用地情報の提供を市に要請したため、市議会でも議論になっている。
病院は清水区中心部の大通りから少し入った場所。元は旧社会保険庁が所有する公的病院の「社会保険桜ケ丘総合病院」だ。鉄筋4階建ての壁をはう配管はさびて、古さが一目瞭然だ。
国が戦後まもなく、企業の社員寮を購入して開設。増改築を重ねたが、最も古い部分は築56年になる。約8500平方メートルの敷地にめいっぱい建っており、診療しながらの建て替えは不可能。このため約20年前に移転新築構想が浮上した。
当時の清水市長らの呼びかけで、病院建設に協力しようと清水区大内新田の住民らが農地約3万平方メートルを差し出し、14年前に社保庁が購入した。だが、工事は始まらなかった。保険料の無駄遣いが批判され、社会保険庁が運営する全国の社会保険病院の整理合理化方針がいったん決まった。その後、同庁が年金や保養施設など一連のずさんな管理運営を非難されて解体。社保病院の方針も売却、存続と変わったため、桜ケ丘病院の移転は凍結状態になった。
にわかに動き出したのは昨年秋。病院側は、大内新田への移転にかかる経費を精査した草案を、現在の運営主体である独立行政法人「地域医療機能推進機構」(JCHO、本部・東京)に提出した。採算に不安を持ったJCHOは今春、他にまとまった土地がないか静岡市に情報提供を求める要望書を提出。大内新田以外の選択肢を検討していることが明らかになった。
JCHOは見直しの理由について、大内新田周辺は昨年の台風で浸水被害が出たが、水害に備えた施設の建造や資材の高騰で建設費が増える▽予定地から最寄りのバス停まで約300メートルで、お年寄りには大変で危険でもある――などを挙げ、「中心部に用地がないか市の協力に期待している」と話す。JCHOの担当者は「市の情報提供待ち。期限はない。他に用地がまったくないことがはっきりしたらその時点で判断するしかない」。
市は桜ケ丘病院を「清水区の基幹病院で地域医療に不可欠」と位置づけ、早期移転に向けた協力姿勢を示している。市有地や民間用地を探しているという。
しかし、現予定地の地元にとっては、はしごを外されるような話。大内新田が地元の栗田知明市議は「当時の清水市長がここに建設するからと我々に要望し、土地を提供した。行政は約束を全うすべきだ」と、市議会での質問で移転先変更に異を唱えた。
一方、中心部が地盤の風間重樹市議も市議会での質問に移転問題を取り上げた。大内新田の移転先が現病院から北西に3~4キロ離れている点を指摘。「患者は中心部の住民が多く、しかもお年寄りが多い。バスも不便だ」と述べ、すぐ近くの「清水桜が丘公園」(約2万2千平方メートル)への移転検討を求めた。
病院の現在地周辺の自治会は10月、住民約5千人の署名を集め、同公園への移転を市に要望。だが、市によると、公園が都市計画公園であることから、都市計画決定の変更手続きなど課題が少なくないという。
市議会では市役所の清水庁舎と病院を合体する案も出ている。しかし、海岸に近く、万一、津波に襲われた場合、病院機能がマヒする懸念がある。現在、入っている部局の移転も解決する必要がある。議会での論戦はまだまだ続きそうだ。(野口拓朗)
区名 病院名 外来患者(延べ人数) 入院患者(延べ人数) ベッド数(床)
清水区 市立清水 19万5526 12万6630 500
桜ケ丘 8万0612 3万1620 199
清水厚生 7万3806 2万6037 154
葵区 県立総合 41万1582 21万2105 712
市立静岡 28万2929 17万3291 506
静岡赤十字 22万4725 13万7630 517
静岡厚生 10万0320 6万5700 265
駿河区 静岡済生会総合 22万7600 15万8396 534
静岡徳洲会 11万1500 8万6000 499
<アピタル:ニュース・フォーカス・特集>
トップニュース
速報・新着ニュース
きっかけは内部通報だった
ブリーフィング、待望の新色
シトロン香るロールケーキ
母危篤の報に巡る思い
『まどか☆マギカ』のルール
イザという時に役立つレシピ
伊藤詩織さんの美貌の意味
G・グローブ賞の最旬モード
百世さんちのおせちの掟
フェンダー派?ギブソン派?あわせて読みたい
PR注目情報
「SKE須田さんと金属アレルギー」などをまとめました。一気に読みたい方はこちらから。
高齢者の医療や介護、健康にフォーカスした専門記事です。
インフルエンザの対処法や注目の新薬「ゾフルーザ」をめぐる最新情報をまとめました。