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春の訪れが間近です。2月13日から14日にかけて、四国を皮切りに関東、北陸、東海、中国地方と、さまざまな地域に春一番が吹きました。九州でも確実に日が長くなっています。とくに夕方5時くらいの空が明るいと、なんとなく心弾む私がいます。

こんなにも春の訪れを待ち遠しく思うのには、車いすユーザーならではの理由がありました。下肢が麻痺(まひ)している私にとって、寒さは強敵! 冬は「足の冷えとの戦い」でもあるのです。

一般的に、足の冷えは血液の流れが滞ることによって引き起こされますが、その主な要因は筋力の低下だと言われています。長時間のデスクワークなどによって運動不足の傾向がある現代人。足先の血液を上体へ送り出すポンプ作用が機能しづらくなっているというわけです。

下肢麻痺者においては、そもそも足の機能が麻痺しているので、筋力の低下もなにもありません。理屈だけを見れば、足の冷えは避けられない事象と言えるでしょう。

その冷え具合と言ったら、いわゆる冷え性とは比べものにならないレベルです。氷のように冷え切っているのが冬の日常で、湯船につかれば、あっという間に「ぬるま湯?」というくらいに温度が下がってしまいます。また、身体の半分が冷えているので総じて寒さに弱く、ひどい時には上半身の熱をも奪われているような気がしています。

対策としては、一にも二にも防寒! それに尽きるでしょう。

カイロなど、熱を発して身体を温めてくれる防寒グッズは、手軽に使えて便利な一方で、低温やけどなどの危険な側面も持ち合わせています。このとき重要になるのが皮膚感覚。私のような下肢麻痺者は、皮膚の感覚も失われていることが多く、「熱い・冷たい」を感じることができません。相当、気をつけていないと、いつの間にかやけどをしていた! なんてことにもなりかねないのです。

そして、結局のところ、衣料品での防寒に落ち着いてしまいます。私の場合、とくに下半身はフル装備です。洋服によって仕様は変わるけれど、ひざ掛けとレッグウォーマーは必須アイテムとなりました。なかでも、一昨年の冬に目をつけた"ももひき"は秀逸で、ズボンのとき限定のマイブームとなった時期がありました。女子と"ももひき"--色気もなにもないけれど、背に腹はかえられません。ほかにも、靴やタイツ、下着など、工夫のしどころは満載です。

季節の変わり目には、終わりを告げるシーズン物がセールに並び始めます。今の時期であれば、そう! 防寒グッズ! これを見逃す手はありません。はやりものの洋服と違い、毎年必要になることが見えているので、値段の下がる今購入する方が得策と言えるでしょう。

意外とヒット商品が多いのは、大型のスポーツ用品店だったりします。車いすで自走する際に着用する手袋は、防寒用途のほかにも、"こぎ味"にこだわって選びます。ハンドリム(手で握る部分)がスルスルと滑るようでは、動力がうまく伝わらず労力ばかり消費してしまうので、多少の滑り止め機能が重要となります。ここで重宝するのが、各種スポーツ用手袋というわけです。私が使ったのは、ゴルフ用にはじまり、自転車用、バイク用といったところでしょうか。ほかにもスキー・スノボウェア辺りでは、"薄手なのに温かい"とうたった腹巻きを見かけた記憶があります。私はとくに腰が悪いので、腰痛悪化を防ぐため体幹を冷やさない工夫として欠かせません。

最近では店頭に並ぶ洋服も、すっかり春色になりました。しかし、忘れてはいけないのは、防寒グッズの調達です。来冬への備えは、今から始まっているのです。

拡大する写真・図版イラスト:ふくいのりこ

<アピタル:彩夏の“みんなに笑顔を”>

http://www.asahi.com/apital/column/ayaka/(アピタル・樋口彩夏)

アピタル・樋口彩夏

アピタル・樋口彩夏(ひぐち・あやか)

1989年、東京生まれ。中学2年の時、骨盤にユーイング肉腫(小児がん)を発症。抗がん剤、重粒子線などの治療を経て、車いすでの生活に。「いつ、誰が、どんな病気や障害をもっても、笑顔で暮らせる日本にしたい!」を目標に日々、奮闘中。当事者の視点から建設的に伝えることをモットーに執筆・講演も行っている。

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