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 がん患者の就労を支援する企業「キャンサー・ソリューションズ」(東京都千代田区、桜井なおみ社長)が、がんと診断された時に就労していた患者に調査したところ、傷病手当金を受給して休職した期間によって、復職率に大きな差があることが分かった。手当を受給して休職した62人を分析すると、受給期間が6カ月未満の人の復職率が69%だったのに対し、6カ月以上の人の復職率は18%にとどまった。桜井さんは「長期休職が離職につながっている」とみている。

 同社はがんの治療経験がある桜井さんが、患者の就労支援などを目的に起業。職業紹介事業のほか、相談事業、社員教育への講師派遣、イベント企画などを行っている。http://www.cansol.jp/index.html別ウインドウで開きます

 調査は患者300人を対象に実施。全体では、73%の人が職場は変わらず、依願退職や解雇は12%だった。

また、就労の継続に影響を及ぼした要因5つを尋ねたところ、一番多かったのは「体力が低下したため」だった。続いて「価値観が変化した」、「薬物療法による副作用(脱毛や発疹、関節痛、倦怠感など)」、「職場に迷惑をかけると思った」、「通院時間の確保が困難」が多かった。これらのことから、同社では「医学的な背景を基礎にした、精神的なサポート、社会的な支援が就労継続には不可欠」としている。

 診断から1年以内の休暇日数は、がんと診断された時のステージ(進行度)によって大きく違った。例えば、Ⅰ期だと平均33日だったが、Ⅱa期が61日、Ⅱb期が70日、Ⅲ期が56日、Ⅳ期が103日とステージが上がるほど日数が長くなる傾向がみられた。これらの数字は、新たにがんと診断された患者が、仕事の継続を検討し、会社と話し合うときの一つの目安になるとしている。

 治療と仕事を両立させるために必要な取り組みにとして、「分割取得できる傷病手当金」を望む声が最も多かった。傷病手当金制度は、支給開始から最長1年6カ月に限られ、その間、一時的に仕事に復帰した期間も1年6カ月に算入される。このため、患者が支給を望む時期との間にずれが生じる。また、「柔軟な働き方ができる就業規則の改訂促進」を挙げた人も多かった。

 桜井さんは「長期休職は失業につながる。がんと就労で一番苦労している中小企業、非正規労働者、女性の働き方を支援するためには、傷病手当金制度を通算型に改訂することで、柔軟な労働環境づくりを創出することが必要。また、医療機関は化学療法を受ける患者に対し、副作用のつらさを軽減する支持療法を徹底してほしい」と話す。また、事業者が休職中の社員に配慮するだけでなく、患者側も事業者と連絡を取って、体調や復職時期に対する思いなどを伝えることも重要だという。

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岩崎賢一

岩崎賢一(いわさき・けんいち) 朝日新聞記者

1990年朝日新聞社入社。くらし編集部、政治部、社会部、生活部、医療グループ、科学医療部などで、医療を中心に様々なテーマを生活者の視点から取材。テレビ局ディレクター、アピタル編集、連載「患者を生きる」担当を経て、現在はオピニオン編集部。『プロメテウスの罠~病院、奮戦す』、『地域医療ビジョン/地域医療計画ガイドライン』(分担執筆)