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 【質問】育児休業期間が終わり、子どもを保育園に入れて職場復帰をする人が増えていますが、子どもが病気になったときのことを考えると不安な人は少なくありません。「子どもが病気なら仕事を休むべきだ」という意見の人もいますが、看病のために仕事を休めないとき、祖父母に頼る以外にどのような方法があるのでしょうか。「ちーちゃん」こと渡辺千鶴さんと一緒に考えてみましょう。(アピタル編集部)

★★★ちーちゃんと考えよう★★★

 かつて私も保育園に娘を預け、フルタイムで働いていたので、わが子の病気は最大のピンチでした。体調がイマイチで元気のない娘を保育園に預けた日には「どうか悪化しませんように……」と祈るような気持ちで仕事に向かい、携帯電話が鳴るたびに「お迎えコールかもしれない」と胸がドキリとしたものです。

 保育園に通う子どもが日常的な病気にかかったとき、何日も仕事を休むことはできないので、自分たちの代わりに看病してくれる人を見つけなければなりません。多くの親がもっとも頼りにするのは自分の親(祖父母)です。しかし、遠方に住んでいればすぐに助けてもらうことは難しいし、そもそも祖父母にも自分たちの生活があるので、それほどアテにできないことはだれもが薄々わかっています。祖父母に看病を引き受けてもらえないとき、どうしたらいいのか――。

 こんな場合に利用を考えてみてもよいのが「病児・病児後保育施設」です。これらの施設では、保育園に通っている子どもが感染症などの病気にかかったとき、あるいはその回復期にあるとき、いつも通っている保育園の代わりに一時的に子どもを預かってくれます。国の子ども・子育て支援制度の中で、市町村が地域の実情に応じて整備することになっているため、地域によって差はありますが、私の娘が小さかった十数年前に比べると、病児・病児後保育施設数は全体で約2.5倍に増えています。「病気の子どもを他人に預けるのはかわいそう……」とためらう人もいるでしょうが、小さな子どもを一人きりで寝かしておくわけにもいきません。これらの施設のことをよく知り、上手に活用しましょう。

運営母体によっても異なる施設の特徴を調べておこう

 病児・病後児保育施設は、病院、診療所、保育所、ベビーシッター会社が主に運営しており、急性期の子どもを預かる病児施設、回復期の子どもを預かる病後児施設に大きく分かれます。さらに「託児型」と「訪問型」があり、託児型は病院・診療所、保育所などに併設された専用スペースあるいは独立した施設で看護師と保育士が病児・病後児の看病と保育にあたります。2014年度のデータでは市町村の補助金を受けている託児型施設は全国に1271カ所あり、そのうち病児対応型は698カ所、病後児対応型は573カ所で、延べ利用児童数は約57万人でした。看護師や保育士などが自宅に出向いて保育にあたる訪問型は、2011年度から事業化され、2014年度のデータによると補助金を受けている事業所は全国で5カ所にとどまります。

 託児型の中でも小児科診療所が運営している施設は、診察後、そのまま預かってもらえるため利便性が高く、日常診療の合間に小児科医に様子をみてもらえたり、ひきつけやけいれんなどを起こしたときも迅速に対応してもらえたりするので安心です。一方、病院に併設されている施設の中には小児科医がかかわっていないこともあり、回復期の子ども(病後児)しか預かってもらえない場合もあります。また、質に関していえば、一般社団法人 全国病児保育協議会が認定する「病児保育専門士」を配置している施設もあります。このように運営母体によっても施設の特徴は異なるため、自分のニーズに合った施設を利用できるように、それぞれの施設の特徴について、あらかじめ調べておきたいものです。

 病児・病後児保育施設の情報は都道府県および各市町村のホームページで入手することができるほか、一般社団法人 全国病児保育協議会のホームページも参考になります。

●病児・病後児保育施設の所在地について知りたい方は

一般社団法人 全国病児保育協議会「加盟施設一覧表」

http://www.byoujihoiku.net/list/index.html別ウインドウで開きます

 

1日の定員数が少ないため、複数の施設へ事前登録を

 病児・病後児保育施設の利用にあたっては事前登録が必要です。自分の地域にある病児・病後児保育施設の特徴や利用条件を調べたうえで、複数の施設に事前登録できる場合は、そうしておくのがよいでしょう。というのも1日の定員数が、4~10人と少ないため、利用したい施設に必ず空きがあるとはかぎらないからです。子どもの日常的な病気の大半は感染症で、多くの親が施設を利用する時期は集中します。さらに、利用日前日に先着順で予約を受け付け、連続して利用できる日数も限定されていることが多いので、看病のローテーション表を作り、その中に計画的に組み込んでいくことを考えましょう。なお、自治体によって異なりますが、1日の利用料は2000円程度で、世帯の条件によっては減額・免除制度があります。

 病児・病後児保育施設でもはしかや百日ぜきなど感染力の強い病気、症状が重くて点滴などの処置を必要とする子どもは預かってもらえません。利用を希望している施設に、預かってもらえない病状について、事前にしっかり確認しておきましょう。また、1歳を過ぎてはしかと風疹の混合ワクチンなどを接種していないときは利用を断られるため、定期予防接種は推奨されている時期に必ず受けておきたいものです。

 託児型を利用できない場合、料金はかなり高くなるものの訪問型を利用する手もあります。利用できる地域が大都市にかぎられたり、会員になる必要や利用料が月額だったりすることがありますが、いざというときの保険として、事業所の所在地、利用条件、対応してくれる病気・病状などの情報を集めておくのもいいでしょう。東京都千代田区、渋谷区、足立区、文京区、北区では訪問型病児保育の利用料を助成しています。このような自治体は少しずつ増えているようなので、お住まいのある自治体に問い合わせてみることをおすすめします。

 子どもは10歳を過ぎると、感染症に対する抵抗力もついてきて、ずいぶん丈夫になります。それまでの間、家族だけで奮闘せず、必要に応じて地域の助けも借りながら子育ての大変な時期を乗り切っていきましょう!

◆次回は「これって救急車呼ぶ?」と感じたときの対応について考えてみます。

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アピタル編集部より

 「ちーちゃん教えて!」シリーズは、私たちが暮らしの中で感じる医療・健康・介護にかかわる悩みや疑問について、医療ライター渡辺千鶴さんにアドバイスしてもらいます。隔週木曜日に新しい記事を配信していきます。

<アピタル:メディカル玉手箱・ちーちゃん教えて!>

http://www.asahi.com/apital/healthguide/tamatebako/(アピタル・渡辺千鶴)

アピタル・渡辺千鶴

アピタル・渡辺千鶴(わたなべ・ちづる) 医療ライター

愛媛県生まれ。京都女子大学卒業。医療系出版社を経て、1996年よりフリーランス。共著に『日本全国病院<実力度>ランキング』(宝島社)、『がん―命を託せる名医』(世界文化社刊)などがある。東京大学医療政策人材養成講座1期生。現在、総合女性誌『家庭画報』の医学ページで「がん医療を支える人々」を連載中。