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 医療機関へのかかり方って、教わる機会がないですね。

 私の長女は、高校の家庭科の授業で昔とずいぶん違う内容を教えてもらってきます。例えば、生涯のパートナー選びの考え方を築くのは青年期とか、男女の生涯賃金の差とか、高齢者になると人はどのような特性を持つかというような内容で、私の高校生の頃のような裁縫、料理、洗濯のことだけでなく、現代に必要な実際的な知識を教える教科になっていました。

 教科書には、親になるというのはどういうことかという章があり、子どもの成長発達、子どもの衣食住、保育園や子どもの人権について書いてありました。高校生の男女がこんなことを学んでくれたら心強いなと思う一方、やはり「子どもがどうなったら何科にかかるか」といった具体的なことまでは書いていなかったです。

 

 まず病院と診療所の違いですが、20床以上のベッドがあると病院、19床以下だと診療所・クリニックです。

 次に医療圏という言葉を聞いたことがありますか?1次、2次、3次があり、行政が病院や診療所を整備するときの地域的な単位のことです。1次医療圏にあるのが1次医療機関、2次にあるのが2次医療機関、3次は3次医療機関です。

 簡単に言うと、1次医療機関は、外来だけで帰れる程度の症状でかかる診療所や小規模病院。市町村単位に数多くあり、風邪やちょっとしたケガ、元気はそこそこあるけれど調子が悪い時にかかります。 2次医療機関は、入院が必要になるくらいの症状の時にかかります。一つの市町村にはないことがあるので、1次医療圏の診療所から紹介されて隣の市まで行くことも。例えば、肺炎や気管支喘息(ぜんそく)発作がひどい時、子どもだったら哺乳力不良、ひどい胃腸炎、なかなか止まらない痙攣(けいれん)、点滴や手術を要する場合などです。 3次医療機関は、重大な症状や希少な病気の時にかかる医療機関で、都道府県単位にあります。

 

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 子どもがどうなったら医療機関にかかりますか?

 年齢によって目安は違いますが、どんな症状でも日中は大丈夫。症状は軽いけれど、心配だから相談に、というだけでもいいんです。ワクチンや発達に関することは、予防接種外来や乳児健診の曜日と時間が決まっているところが多いので、電話であらかじめ聞いておくといいでしょう。

 では、時間外診療、救急外来でもかからなくてはいけない時は、どんな時でしょう?

 一般に、多くの医療機関は午前9時から午後5時が診療時間で、それ以外は時間外になります。実は、時間外診療や救急外来は、一人だけ、あるいは必要最小限の数の医者しかいません。看護師・医療事務員も少なく、検査技師や薬剤師は自宅待機のため、電話で呼ばないと来ないと言う医療機関もあります。だから、日中のようにいろいろな検査はできないし、処方できる薬も限られているのです。(ちなみに、一般に医者以外のスタッフは夜ずっと働くと翌日には帰宅できますが、医者は残ってもう1日働くのが慣例。 ■湯地晃一郎『勤務医の過重労働:酷使される勤務医の実態と、その解消策』http://www.huffingtonpost.jp/koichiro-yuji/post_4867_b_3363253.html別ウインドウで開きます

 

 それでも、生後6ヶ月未満のお子さんが発熱したときには、ぜひ医療機関に行ってください(小児=15歳未満の発熱とは37.5度以上のこと)。そしてその月齢の子がいつもの半分しか母乳・ミルクを半日以上飲まないときにも。WHOは生後3ヶ月未満と言っているようですが、私は念のため6ヶ月とお伝えしています。小さい子でも、もちろんただの風邪ということがありますが、月齢が小さければ小さいほど症状に乏しいので注意が必要です。重い病気なのに症状は熱しかない、あるいは、熱もないのに飲めないだけということがあるので、時間外でも連れて行ってください。

 それよりも大きい子は、なんらかの症状がつらくて眠れないときには時間外でも行きましょう。例えばゼイゼイがひどい、犬が鳴くような変な咳をしている、どこかが痛い、何度も何度も吐くなどです。

 

 何科にかかるかということも、知る機会がないですね。

 子どもだったらなんでも小児科ではないんです。小児科は内科系ですから、一般に外科的な処置、ケガをして傷口を縫うというようなことはできません。骨折を疑う時も初めから整形外科にかかりましょう。頭をぶつけて意識がないような場合は脳外科です。脳外科に行くほどの症状かどうか、迷うときには小児科でも大丈夫です。

 水いぼ、乳児湿疹、あせもは皮膚科でも小児科でも構いません。発疹とともに熱があるときには、水ぼうそうや手足口病であることもあるので皮膚科ではなく小児科がいいでしょう。中耳炎のようなら耳鼻科ですが、軽ければ小児科でも構いません。

 「内科・小児科」という看板の診療所では、内科の先生が小児も診ていることが多いもの。1歳未満の子の場合は「小児科・子ども(キッズ)クリニック」と書いてあるような診療所に行きましょう。

 迷ったら近くの医療機関に電話するのもいいですが、24時間つながる「#8000」(小児救急ダイヤル)に電話して相談するとか、日本小児科学会監修の「こどもの救急」(http://kodomo-qq.jp/別ウインドウで開きます)というサイトを見るのもお薦めです。

 

 ◇次回は、7月4日(月)に掲載予定です。

 

<アピタル:小児科医ママの大丈夫!子育て>

http://www.asahi.com/apital/column/daijobu/(アピタル・森戸やすみ)

アピタル・森戸やすみ

アピタル・森戸やすみ(もりと・やすみ) 小児科医

小児科専門医。1971年東京生まれ。1996年私立大学医学部卒。NICU勤務などを経て、現在はさくらが丘小児科クリニックに勤務。2人の女の子の母。著書に『小児科医ママの「育児の不安」解決BOOK』(内外出版)、共著に『赤ちゃんのしぐさ』(洋泉社)などがある。医療と育児をつなぐ活動をしている。