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 横浜市の大工、鵜沢真治さん(66)は今年2月、建築中の住宅で約3メートル転落し、心肺停止状態になりました。駆けつけた救急隊の蘇生措置で心拍が再開、「横浜市重症外傷センター」に搬送されました。センターは市内の2病院が指定され、重い外傷に対応できる外科医が24時間体制で常駐しています。鵜沢さんはおなかの中で大量に出血していたため、すぐに手術を受け、約3週間おなかを開けたまま回復を待ちました。現在は、仕事への復帰を目指してリハビリに励んでいます。 ……取材した記者の「ひとこと」とともに、『患者を生きる・転落事故』の全編をお送りします。

 

建設現場から転落、心肺停止

 今年2月、横浜市内の3階建て住宅の建築現場で事故は起きた。

 午後5時ごろ、市内に住む大工の鵜沢真治(うざわしんじ)さん(66)は、住宅の2階から3階へ上がるはしごから約3メートル下の1階土台部分に転落した。まだ床板が張られておらず、コンクリートの土台の上に柱や枠が組まれた場所に激突した。

 

 「ドスン」という音を聞いた同僚が、倒れている鵜沢さんを見つけて119番通報した。鵜沢さんは打ちどころが悪く、救急車が到着したときには一時、心肺停止状態だった。

 その場で救急隊員が心肺蘇生措置をし、心拍が再開した。通報から約20分後、救急車は済生会横浜市東部病院(横浜市鶴見区)に向かった。この病院は、外傷治療に対応する外科医が24時間体制で待機する「横浜市重症外傷センター」に指定されている。

 救急室に運び込まれると、医師や看護師らが鵜沢さんを取り囲んだ。超音波検査で、おなかの中で大量に出血しているとわかった。脈拍数が下がり、意識レベルも低下していた。「危ないぞ」。医師の声が響いた。

 すぐに胸を切って開き、続けて腹部も開いた。出血を止めるため、損傷が激しい左の腎臓と脾臓(ひぞう)を摘出した。出血量は成人男子の血液量の半分以上の約3リットルに達し、大量の輸血が続いた。手術室に移動して、さらに出血を止める手術をすることになった。

 知らせを受けた長男の健一(けんいち)さん(35)が病院に駆けつけた。心配した工事関係者も集まった。

 午後7時半に改めて手術が始まった。外傷外科医の清水正幸(しみずまさゆき)さん(43)らが、肺にできた傷を塞ぎ、臓器を摘出した場所から出血しないように縫い直した。

 2時間ほどで手術が終わると、健一さんは医師から「かなり重傷で出血がひどいです。左の腎臓と脾臓を取りました」と説明された。そして「親戚にも連絡を取ってください」と言われた。

 鵜沢さんは若い頃から大工一筋で、これまで大きな事故を経験したことはなかった。

 「これからどうなるだろう」

 健一さんが不安を抱えたまま病院を出たのは、日付が変わった午前2時ごろだった。

 

2カ月過ごした集中治療室

 横浜市の大工、鵜沢真治さん(66)は今年2月、住宅の建築現場で転落し、済生会横浜市東部病院(横浜市鶴見区)に運ばれた。

 この病院は市内に2カ所ある横浜市重症外傷センターの一つ。大量出血などを起こした重症患者を救うために、外傷に対応できる医師が24時間待機してただちに手術ができる体制を整えている。

 鵜沢さんは腎臓や脾臓(ひぞう)などが傷つき、大量に出血して危険な状態にあった。手術後は集中治療室(ICU)に入り、人工呼吸器をつけた状態が続いた。翌日もじわじわと出血した。臓器が腫れていたため、おなかを開けたままシートで覆って回復を待った。縫って閉じたのは約3週間後だった。

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