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 夏においしいキュウリとスイカ、それにメロン。この三つの中で野菜はどれ?と聞かれたら、どう答えますか?……「キュウリ」も正しいし、「全部」も正解です。

 野菜と果物の分類は、国によっても、また生産、流通、商品の現場でも少しずつ違っていて、統一したルールがありません。おおまかに言うと、農水省など生産分野では、草本性(1年から数年で枯れる草)の植物を食べる場合を野菜とし、木に成る果実を果樹に分類。メロン、スイカ、イチゴなどは、果実的野菜という分類が適用されることもあります。消費の現場に近づくほど、食べ方などを考慮し生活感覚に近い分類になっていきます。

 甘いのが果物、甘くないのが野菜、と区別しようとしても、フルーツトマトや甘みが強いニンジンという例外が。突き詰めていくと案外くっきりとはいかない野菜と果物の線引き。では、健康への効果という視点から野菜と果物を見ると、どうでしょうか。

 前回のコラムで紹介した「食生活指針」では、「たっぷり野菜と毎日の果物で、ビタミン、ミネラル、食物繊維をとりましょう」となっています(http://www.maff.go.jp/j/syokuiku/shishinn.html別ウインドウで開きます)。

 国民の健康づくりに関する国の方針を示した「健康日本21(第二次)」をみると、「野菜と果物の摂取量の増加」を栄養・食生活の目標に掲げています(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kenkounippon21.html別ウインドウで開きます)。根拠として、野菜・果物の摂取量の増加が、体重コントロールに重要な役割があること、循環器疾患、2型糖尿病の一次予防に効果があると報告されていることなどが挙げられています。

 国立がん研究センターが発表している「日本人のためのがん予防法」(http://ganjoho.jp/public/pre_scr/prevention/evidence_based.html別ウインドウで開きます)も、食生活の注意の一つに野菜や果物不足にならないことを指摘し、野菜・果物を毎日とるように勧めています。野菜に負けず劣らず、果物も意識して食べたい食品と言ってよさそうです。

 でも、日本人の果物摂取量は先進国の中で最低クラスにあります。中央果実協会によると、野菜と同じような感覚で果物を食べる欧米諸国に比べ、日本は嗜好品としての性格が強いことが背景にあるそう。

 さらに、この40年の推移をみると、果物を食べる量は少しずつ減ってきています。2014年の国民健康・栄養調査(http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/eiyou/h26-houkoku.html別ウインドウで開きます)によると1人1日あたり105グラム。1975年は194グラム、85年は155グラムあったのですが。年代別でみると、20歳代から40歳代の働き盛りが50グラム台と特に低いのです。

 1日に何をどれくらい食べたらよいかを示す「食事バランスガイド」(http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/eiyou-syokuji.html別ウインドウで開きます)では、果物は2つ(SV)、おおよそ200グラムが目安としています。ミカンなら2個、リンゴなら1個。大きめの柿で1個ぐらい。また、健康日本21では、野菜摂取量の目標350グラムと共に、果物は摂取量100グラム未満の人の割合を61.4%から30%に下げることが目標になっています。せめて、1日100グラムの果物を食べて、というところでしょうか。

 店頭でナシやブドウ、早生品種のリンゴなどを見かけるようになりました。暑い日はまだ続いていますが、実りの秋がやってきます。

 

<アピタル:食のおしゃべり・トピック>

http://www.asahi.com/apital/healthguide/eat/(大村美香)

大村美香

大村美香(おおむら・みか) 朝日新聞記者

1991年4月朝日新聞社に入り、盛岡、千葉総局を経て96年4月に東京本社学芸部(家庭面担当、現在の生活面にあたる)。組織変更で所属部の名称がその後何回か変わるが、主に食の分野を取材。10年4月から16年4月まで編集委員(食・農担当)。共著に「あした何を食べますか?」(03年・朝日新聞社刊)