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 スポーツへの関心はさほど高くないのですが、それでもこの夏は、リオデジャネイロ五輪のテレビ中継に何度も目を奪われました。鍛え上げた身体を駆使して競い合う姿には、有無を言わせない迫力がありました。

 こうしたトップアスリートが栄養・食事にも神経を使ってコンディションを整えていることはよく知られています。では、明日のトップアスリートを目指し、練習に励んでいる子どもたちは、どのような食生活が望ましいのでしょうか? 日本栄養士会が開催している「未来のトップアスリートのための体感型スポーツ栄養セミナー」の東京会場(9月2日開催)におじゃましてきました。

 保護者や指導者、栄養士ら、運動する子どもに関わる人たちに向けて始めた事業で、今年度は来年2月までに全国12カ所で行われます。

拡大する写真・図版レバーの下処理など調理のポイントの実演解説もありました。

 日本栄養士会と日本体育協会が共同認定しているスポーツ栄養の専門家、「公認スポーツ栄養士」がセミナーをプロデュース。内容は、心と体づくりのための食の基礎知識、ジュニアアスリートがとりたい食材の量や調理ポイント、試合前・中・後の食事、熱中症を予防するための水分補給方法など、盛りだくさん。午前10時から午後4時半までたっぷり1日、昼食には、競技力向上と良好な発育発達を考えたオリジナルの「アスリート弁当」が出され、味わいながら学ぶシーンもありました。

 試合前夜の食事は、エネルギー源の主食をしっかりとる一方、消化に時間がかかる油は控えめに、安全性を最優先に考え、火を通したおかずで献立を考えることなど、実践に役立つ情報を数多く知ることができました。

拡大する写真・図版昼食の「アスリート弁当」。緑黄色野菜の味付けを工夫した「ホウレンソウの明太子ソース」、鉄分アップを狙った「レバー入りミートソース」など9品が入っていました。

 同時に、成長期の子どもだからこそ、将来を見据え、栄養と運動と睡眠のバランスをとる配慮が大切だという指摘が印象に残りました。

 運動する人は身体活動量が多くなるので、エネルギー、栄養素の必要量が増えます。一方、食べることができる量には限界がありますし、運動中は交感神経が優位になり、消化・吸収が抑制されます。また運動時間が長くなると、消化・吸収を効率よく行う時間が短くなります。すると運動量によってはエネルギーや栄養素が足りなくなり、成長期の子どもの場合、運動し過ぎていると、発育発達に回る分が十分でなくなる恐れがあるというのです。

 人生の中で、身長が伸び身体の基礎ができあがる時期は限られています。食の基礎知識について講義した鈴木志保子・神奈川県立保健福祉大教授は「成長期は発育発達を第一に考えるべき」と話し、発育をビル建設にたとえていました。良好な栄養状態で適度な身体活動をし、適切な生活習慣が身についていれば、立派なビルが建つ。けれど、過度の運動など何か条件が欠けていれば、ビルの階数が減ったり、土台が小さくなったり、壁の厚みが予定より薄くなったりしてしまう。成長期に体重が停滞しているようなら、要注意だそう。

 勝ちたい、上手になりたいとスポーツをする子どもの体を十分育てられるよう、大人が正確な知識を共有して細やかに見守っていけたら、と感じました。

このセミナー、今年度はすでに各地とも満席で受付を終了していますが、2020年度にかけて全国47都道府県での開催を予定しています。

 

<アピタル:食のおしゃべり・トピック>

http://www.asahi.com/apital/healthguide/eat/(大村美香)

大村美香

大村美香(おおむら・みか) 朝日新聞記者

1991年4月朝日新聞社に入り、盛岡、千葉総局を経て96年4月に東京本社学芸部(家庭面担当、現在の生活面にあたる)。組織変更で所属部の名称がその後何回か変わるが、主に食の分野を取材。10年4月から16年4月まで編集委員(食・農担当)。共著に「あした何を食べますか?」(03年・朝日新聞社刊)